【大紀元日本7月8日】気候変動は中国の水資源の分布を変える可能性があり、現在中国で深刻化する水資源状況を更に悪化させてしまうと、中国の水資源専門家が指摘する。
中国科学院水資源研究センター主任で水資源専門家の夏軍氏は最近、オーストラリアで開催された「気候変動適応性対策」会議に出席中、現地メディアの取材に応じて、地球規模での変化が中国にもたらす影響について話した。
干ばつ・洪水の発生は更に頻繁
同氏によると、気候変動の影響により、中国では、雨量の多い地区では更に多くの雨が降り、雨量の少ない地区では更に深刻な干ばつに見舞われる可能性がある。
「多くの研究データから、北方と南方の水資源状況はますます悪化する可能性が示されている。更に、気候変動は南方を干ばつに変えてしまう可能性がある。例えば今年、中国西南地区が見舞われた大干ばつ。今は北方でも干ばつが起きており、緩和する形跡がない。状況はますますひどくなっているようだ」と同氏が語る。
中国の水資源について、「総量はそれほど大きく変化しないかもしれないが、時間的・空間的に分布が変わり、干ばつと洪水など極端な問題の発生頻度が増加する可能性がある」と指摘した。
大都市の飲用水も危機
水資源の不足や干ばつの状況が、中国の大都市の飲用水にも影響していると同氏は話す。
「西南の干ばつは用水の不足を引き起こす。私個人の考えではこのリスクの可能性はやはり高い。中国全土の干ばつレベルと面積は増え続けている。今年は主に西南の中小都市や農村が深刻な状況に陥ったが、もしも来年、再来年にこのような大干ばつが発生したら、大都市でも非常に危険な状況が現れるだろう」
「今はそれに備えて準備が必要だ。もし、政策上においてこのような水資源供給方式や伝統的水資源管理方式を改変しなければ、将来大きな災害問題に直面した場合、対策能力は無いだろう」と警告。
過剰な地下水採取
同氏はまた、中国の多くの都市では地下水を大量にくみ上げることが普遍的な問題となっていると、詳しく説明した。
「華北地区の状況は非常に突出している。今我々が行っている華北水利研究によると、現在地下水を過剰に採取している。その深度と面積はますます大きくなっていることが確認されている。滄州地区浅層の地下水採取面積は4万4千平方キロメートル以上だ。原因は、北方地区でここ30年近く気候が乾燥していることにある」
「一方、ここ2、30年、中国経済の発展と都市・農業・工業の発展も非常に速く、このような需要と供給の矛盾が非常に大きい。だから降水量が少なければ我々は出来る限り地下水を用い、地下水が足りなければ雨水を使う。雨水も足りなくなった場合、我々は過剰に地下水を採取する。時間が経つにつれ、過剰採取量もますます多くなった」と憂慮を示す。