【大紀元日本7月13日】ソーシャルサイトのフェイスブックを、中国政府は政治的な脅威とみなしているようだ。政府系シンクタンクである社会科学院がこのほど発表した「2010中国新メディア発展報告」の中で、米フェイスブックなど会員制交流サイト(SNS)について「特別な政治的機能を持ち、脅威となり得る」と指摘している。共産党機関紙「人民日報」傘下の環球時報(英文版)が報じた。
中国国内では、当局の不利な情報がインターネットで広まるのを恐れ、厳しいネット検閲システムが設けられている。このため、「フェイスブック」や「ツイッター」、「ユーチューブ」などがブロックされ、閲覧できない。今回のこれらSNSに対する非難は、中国当局によるネット検閲を正当化する狙いがあるとみられる。
7月9日付けの「フェイスブック、スパイ行為の道具になり得る」と題するこの記事は、社会科学院の専門家の話を引用し、ネットメディアを、自己表現ができる一方、プライバシーが侵害される危険性もある「両刃の剣」と評した。さらに、商業や政治、軍事分野の機密情報を伝えるスパイ行為が行われるプラットホームにもなりかねないと強調した。
また、同記事では、フェイスブックなどの交流サイトを「発展途上国の政権を転覆させるために利用される恐れがある」と批判している。その具体例として、昨夏のウルムチでの流血事件では、新疆の独立を主張する国内外の勢力がネットを通じて連絡を取り合い、事件の拡大につながったと中国当局は主張している。そのため、新疆ウイグル自治区内のネットや携帯メールが半年以上遮断され、全国範囲での「フェイスブック」や「ツイッター」へのブロックもこの時期から始まった。
今回の社会科学院の報告書でも、社会安定のため、政府による一定のネット検閲は正当だという認識を示している。
今回の「2010中国新メディア発展報告」の発表について、中国の著名なブログ作家・安替氏は、「客観的に見える内容の真意は、新しいメディアの負の要素を強調し、規制強化の正当化を狙うところにある」と指摘した。「フェイスブック」や「ツイッター」、「ユーチューブ」などは、発言権のない民衆が声を出せる場を設けており、民主化を実現する上で実に意義深い。中国当局はそれを負の作用と捉え、さらなるネット検閲、情報遮断の口実にしようとしている、と批判している。