【大紀元日本7月14日】福建省上杭県にある黄金採掘場「紫金山銅鉱」で最近、9100トンを超す有毒廃水が河に流され、大規模な汚染が発生。地元の養殖場の魚が大量死した。地元政府は以前から汚染状況を把握していたが、同社を庇護して情報を公開しなかったと指摘されている。
上海と香港で株式上場する「紫金鉱業」は、中国最大の黄金精錬メーカーで、今回の汚染事件を引き起こした「紫金山銅鉱」は同社の採掘場。現地情報によると、汚染発生は先月には確認されていたが、地元政府と同社は状況を隠し続けてきたという。
中国政府の機関紙「新華社」は12日、初めて同汚染事件を報道した。
福建省政府は、同汚染事件を突発的で重大な環境汚染事件と認定。死亡または中毒症にかかった魚は合わせて1890トンに達すると概算される。
住民の証言によると、現地の河川では死んだ魚が大量に水面に浮上し、河の水は深緑色に変色し、あたりには悪臭が充満する。現場の写真もインターネット上で公開されている。
地元漁民と名乗るネット利用者は、地元政府が今回の汚染事件を故意に隠ぺいし続けていた事実を、次のように書き込んでいる。「先月から、現地では大雨が降り続いていた。メディアは魚の死因について、河水の氾濫がもたらす外来の汚染と断定していた。地元政府の最初の反応も、汚染の真相をひたすら隠すことだった。そして、魚の大量死が発生後、今月4日になって初めて、携帯電話のメールで漁民に汚染事件の事実を知らせた」
地元の養殖業者らは、泣くに泣けない状況にあるという。ある業者は、「魚は我々の全財産だ。金融機関や、親族、友人から多額の借金をして養殖業を始めたが、魚が全部死んでしまった。これからどうすればいいのか。どうやって生きていくのか」と嘆いている。被害者に対する賠償問題はまだ提起されていないもよう。
金と銅鉱は、精錬する過程において、毒性の強いシアン化ナトリウム(通称、青酸ソーダ)の廃水や、金属を含有する有毒汚水が発生する。通常では集中処理が義務付けられている。日本ではシアン化ナトリウムは、「毒物及び劇物取締法」で毒物指定されており、経口致死量は成人の場合200~300mg/人と推定されている。
近年、中国で水質汚染事故が頻発している。05年11月、中国東北部吉林省の中国石油吉林石化公司で爆発事故が発生し、大量のベンゼン(発がん性物質)がアムール河に流出、同河の流域沿いのロシアにまで汚染被害が及んだ。 また、太湖(江蘇省南部と浙江省北部の境界にある大きな湖)の水域では、藍藻の大量発生が頻発し、水質が著しく悪化した。北京の民間環境保護団体「緑色北京」の代表・宋欣洲氏はラジオ自由アジア(RFA)の取材に対し、次のように述べた。「中国ではここ数年、水質汚染の深刻な事故が頻繁に発生している。メディアの報道で明らかになった上記の事故のほか、各地での小規模な水質汚染事故は数え切れない。中国のこれまでの経済発展は、自然環境の破壊を代償にしている」