麻酔なし手術が常態化 北朝鮮の医療体制「崩壊状態」=アムネスティ

2010/07/17 更新: 2010/07/17

【大紀元日本7月17日】国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは15日、北朝鮮の保健制度に関する報告書を発表した。北朝鮮当局は国民に対し、生存のために必要最低限の医療サービスも提供していないと指摘、同国の医療体制は「崩壊状態」にあると警告した。

報告書は、ここ数年間に北朝鮮から国外に脱出した40人以上の元住民や、北朝鮮で医療支援を行った団体などからの聞き取りを基にまとめられたもの。それによると、北朝鮮では、食料不足などで人々の健康状態が悪化する一方、病院は機能しておらず、麻酔なしの手術や注射針を消毒せずに使い回すなど、実態が深刻だという。

ある北朝鮮出身の医師の証言によると、列車から転落した若者は左足を骨折し、切断手術に臨んだが、麻酔が施されなかったという。若者は後に医師に次のように話した。「5人の看護士がぼくを押さえていた。あまりにも痛かった。最初は必死に声をあげていたが、そのうち気が遠くなってしまった。意識が戻ったのは一週間後だった」

また、同報告書によると、北朝鮮の保健予算は国民1人当たり年間1ドル未満と世界一少なく、病院は慢性的な薬や物資不足に直面している。電力不足のため、手術はロウソクのもとで行われることも多いという。

当局の「無料医療制度」も実現するすべもなく、90年代以来、病院が治療の見返りを求めるようになったという。一般的な診療には酒やたばこ、食料など、検査や手術には現金を渡すのが常態化している。「北朝鮮では金がなければ死を待つしかない」と20代の脱北した女性が証言している。

さらに、北朝鮮では年間およそ1万5千人が結核により命を落としているとされる。長期的で深刻な食糧危機は、栄養失調や免疫力の低下をもたらし、結果として結核や肝炎などの伝染病が爆発的に広がったと、アムネスティは指摘する。

アムネスティは報告書で国際社会に対し、北朝鮮へのいっそうの人道的支援を求めた。「北朝鮮の人々は医療と食糧の支援を緊急に必要としている。国際社会は、援助を政治的な駆け引きの道具にすべきではない」と呼びかけた。

(翻訳編集・張YH)
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