【大紀元日本7月23日】中国江蘇省蘇州市通安鎮では、先週14日の夜、約2万人の農民たちが、土地収用の補償金を巡る政府幹部の汚職を問題として、鎮の政府所在地を囲んで、鎮長の辞職を要求する事件が発生した。海外中国語人権サイト「参与ネット」によると、抗議は毎夜2週間ほど続いていたが、19日の昼、さらに拡大し、約1万人が街頭に出て抗議デモを行った。
「参与ネット」によると、同日午後、約500人の武装警察が省都の南京市から現地に駆け付け、抗議者らを現場から追い出そうとして抗議者と衝突。抗議者の中には負傷者も出たが、現場から離れず、さらに仕事を終えた後、現場に応援に行く人など、抗議者の数は増え続けているという。
抗議者らは自発的に、平和的な手段で明確な訴求ができるよう、抗議の方針とルールを制定した。毎日の抗議活動後は自宅に戻るが、日々の抗議は停止するつもりがないことや、メディアの規制を打破してインターネットや国内外のメディアを利用して世論を拡大する手段や、政府のスパイ防止に対する意識などをリーダーらが参加者らに訴えた。
一方、中国国内の大衆紙「現代快報」は22日、深刻な事態に鑑み、蘇州市政府は、鎮長、党書記、副書記を免職する通知を出したと報道している。
アメリカ在住の民主活動家で非暴力的な抗争を研究する中国人学者・楊建利氏は、参与ネットの取材に対し、今回の抗議活動で見受られる民衆の自発的な組織作りや平和的な手段への強調は、注目されるべきだと話している。2週間続けてきた努力、周辺地域に拡大する動員力は、中国の一般大衆の平和的抗議の力を実証するものだと評価している。
これまで内陸各地で多発してきた群集事件は、最近、富裕地域の江蘇省や浙江省でも頻発している。中国社会の官民衝突の深刻さの表れだと楊氏は指摘する。