【大紀元日本7月24日】米当局が北朝鮮への独自の金融制裁に着手したと、23日付の韓国紙「中央日報」が報じた。北朝鮮の不法資金が預けられた海外銀行の約200口座を特定し、このうち不法容疑が明らかな口座約100件について、銀行側に通知し、資産を凍結させる措置に踏み切ったという。
今回の金融制裁は21日、ソウル市内で開いた米韓外務・国防閣僚会議(2プラス2)後の記者会見でクリントン米国務長官が表明したもの。韓国哨戒艦沈没事件を踏まえ、指導部の責任を問う姿勢を明確にした。
外交消息筋の話によると、米国は哨戒艦沈没事件以前から北朝鮮の不法資金のルート調査を行ってきたが、このタイミングで凍結措置に移ったのは、先日採択された実質的な中身のない安保理議長声明を補完する意味があると「中央日報」は分析した。
不法資金が預けられた銀行は、ロシア・中国・東南アジア・南欧・中東の10カ所で、各銀行に数件から数十件の口座があることが把握された。これらの問題口座には不法武器売買や麻薬取引などで稼いだ資金が預けられており、偽札やマネーロンダリング(資金洗浄)とも関係があると推定されている。
今回の制裁を「高精度の制裁(precision sanctions)」と英紙「フィナンシャル・タイムズ」は23日の社説で評価した。制裁の標的は北朝鮮の国民ではなく、金正日政権の指導部に定められている。口座を凍結することで、指導部に大きな打撃を与えると見られる。
今回の制裁対象に、金正日総書記の40億ドルの裏金も浮かび上がっている。この秘密資金は、核とミサイル開発、権力層管理、対韓工作、金総書記のぜいたく品購入などに使われてきたという。また、米CNNは「北朝鮮の5千人の特級階層を対象とする金融封鎖の実施を検討している」と報じており、あらゆる手段で北朝鮮最高権力層に入る資金源を断ち切るという米国の意図を明らかにした。
一方、米国が金融制裁を全面的に発動したとしても、中国政府の北朝鮮への資金提供がその効果を軽減させるとの見方もあるが、05年に米国が北朝鮮の2500万ドルの不法資金を凍結しただけでも、北朝鮮は「血が凍る」ほどの苦痛を訴えていたことから、今回は当時より遥かに痛みを与える可能性が高いと見られる。
なお、今回の金融制裁にはリスクも伴うと、「フィナンシャル・タイムズ」は指摘した。権力移譲の過程で不可解な行動の目立つ金正日政権が再度攻撃を発動する可能性もあり、制裁の「終局」の姿は明確ではないとしている。