南シナ海の領有権 米、多国間協議を支持 中国との新たな緊張

2010/07/26 更新: 2010/07/26

【大紀元日本7月26日】23日、ベトナムのハノイで開催された第17回東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)閣僚会議で、クリントン米国務長官は、南シナ海の領有権は多国間協議を通して解決すべきという姿勢を打ち出した。

クリントン長官は、米国はASEAN加盟国、中国、その他の国とともに、南シナ海の領有権問題を解決するための国際的な機構を構築していくことを探求していると語った。 国際海洋法に基づいてASEANを通して規定を設けるべきとも加えている。

中国を意識した提案といえる。南シナ海の領有権問題については、中国と東南アジア各国の間で争いが絶えない。特に最近、中国大手企業が同地域で新しいエネルギーや鉱物の埋蔵地を探査する動きに、各国間の緊張が高まっている。

米国の提案に、中国は反対の声を上げた。米紙「ウォールストリート・ジャーナル」が米高官の話を引用して伝えた情報によると、中国の高官は同フォーラムで、南シナ海に巡る争議は関係国との二国間で解決されるべきであり、国際社会を巻き込んで協議する必要はないと主張しているという。

中国側のこのような態度を牽制するかのように、クリントン長官は、「様々な領土問題の解決のために、 強制されることのない全ての権利主張者間の協力的な外交手続きを米国は支持し、権利主張者による武力行使・威嚇に対しては、断固反対する」と23日の会議の後、記者に語った。

アジア諸国との協調を強化する米国

22日付けの「ブルームズバーグ・ビジネスウィーク」によると、同フォーラムに先駆け、ゲーツ米国防長官はインドネシアの特殊部隊との軍事協力関係を、12年ぶりに回復。

7月22日には、クリントン長官とベトナムの防衛協力についての会談が行われている。

またクリントン長官とゲーツ米国防長官は、21日、韓国への軍事支援を確約。今年3月の北朝鮮による哨戒船「天安」撃沈の調査結果を受け、米国は北朝鮮への制裁を厳格に施行するようアジア諸国に強調している。

「ブルームズバーグ・ビジネスウィーク」によると、アメリカ統合参謀本部(JCS)のマイケル・ムレン議長は、21日、韓国に駐在する米軍が、中国軍部リーダーらとコミュニケーションできないことを懸念していると語った。

「中国が何をやっているのかという好奇心が、現在は危惧に変わった」「ハイエンド機や、衛星、船舶、対艦ミサイルなどへの投資が明らかに増えている」という。

ペンタゴンが2月に発表した報告書によると、南シナ海を国境とするインドネシアとベトナムは、米国にとって同地域の重要な戦略盟友として、ますます重要視されている。

オーストラリアのカンベラにある防衛大学政治科のカーライル・タイヤー(Carlyle Thayer)教授は、「中国の強引な行動は、アジアに不安をもたらしている。アジア諸国は今回の米国の主導を異議なく受け入れている」とコメントしている。

南シナ海、豊富な石油と資源

シンガポールから台湾へと広がる南シナ海。 海上の通商ルートとして、国際貿易上、重要な役割を果たすだけでなく、石油・天然ガス、漁業資源、薬用資源となるバイオマスなどが潜在する。

中国のある研究では、南シナ海の原油はイランより埋蔵量が多く、天然ガスはサウジアラビアより多いと判断されている。埋蔵量200億トンとも言われている。

この南シナ海には250以上の諸島が浮かぶ。その中にパラセル諸島(西沙諸島)とスプラトリー諸島 (南沙諸島)がある。島そのものは居住できる状態ではなく価値はないが、これらの島の主権を得ることの経済的な意味ははかりしれない。現在、 中国、ベトナム、台湾、ブルネイ、フィリピン、マレーシアの6カ国が主権的権利を主張している。

南シナ海に点在するパラセル諸島とスプラトリー諸島(資料:ウィキピディア)

今年3月初め、スタインバーグ米国務副長官とベイダー・ホワイトハウス国家安保会議アジア上級部長が中国を訪れた際、中国政府は、南シナ海を自国の主権、領土保全と関連した「核心的利害」地域とみなしていると、始めて米国に公式通知した。

南シナ海北部の海南島の海軍基地では、最新鋭の攻撃型原子力潜水艦が配備されていることが確認されている。

第17回ASEAN地域フォーラムの議長声明では、明確に南シナ海の平和、安全、安定を維持する事の重要性を強調しており、南シナ海の「行動宣言」(Declaration on the Conduct of Parties) の効果的な実践を確認。今後はより具体的な「行動規範」(Regional Code of Conduct)へと向かうことが記されている。中国の勢力が、国際的に緊密な協力を通して平和的に抑制されることが期待される。

(編集・鶴田)
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