【大紀元日本7月28日】本紙記者の現地取材情報によると、豚のSARSとも呼ばれる感染症「青耳病」(※)が、中国湖北省宜城市で拡大しているが、病死した豚肉が市場に流されているという。当局は「そのような通報は聞いていない」と否定している。
豚の「青耳病」は豚の繁殖・呼吸障害症候群ウイルス感染による豚の感染症。06年から07年にかけて、中国26の行政地区で猛威を振るった。06年、40万頭が死亡したが、中国当局は、死亡した豚の組織サンプルを国際組織に提供することを拒否。このため近隣国への感染が憂慮される、と当時の国外のメディアは報じていた。また、当時の中国当局の統計によると、07年だけで25万7千頭に発症し、17万5千頭が処分された。
その後、話題に上らなくなった「青耳病」は、実は、現在も湖北省で蔓延していると現地の養豚業者は語る。
湖北省宜城市市民の余さんによると、宜城市では約6割の豚が「青耳病」で病死している。ほかの市民も、07年以降も「青耳病」の感染が相次ぎ、特に7月、8月に状況が深刻化すると証言している。
病死した豚を買い取るヤミ業者は、1頭50元~100元(約650円~1300円)の値段で各家庭から病死豚を買い取ったあと、健康豚と同じ1頭1000元(約1万3千円)以上の値を付けて市場に転売しているという。
病死豚肉が市場で流通していると聞いた余さんたちは、「もう長い間豚肉を食べていない」と口々に断言していた。
07年から3年以上続く豚の伝染病に、当局はまったく手を打っていないという。「政府の関連部門は何もやってくれない。獣医に頼るしかない」と匿名の市民が怒りを口にした。
一方、記者が「湖北省豚青耳病通報ホットライン」に電話で確認したところ、「そのような通報は聞いていない」とスタッフは否定した。
なお、昨年年末でも河南省、湖北省、山東省で「青耳病」の流行が確認されており、今年4月からも、広東省や広西チワン族自治区で感染が確認されている。
※豚の「青耳病」:豚繁殖・呼吸障害症候群(PRRS)と呼ばれ、豚繁殖・呼吸障害症候群ウイルス感染によるブタの感染症。日本では家畜伝染病予防法のもとで届出が求められている伝染病であり、対象動物は豚といのしし。豚の耳・鼻などが酸素不足によるチアノーゼ現象で青くなる場合があるため、「青耳病」という俗称で知られる。接触感染および空気感染により伝播し、伝播力は強い。特異的な治療法はなく、対症療法を行う。