【大紀元日本8月25日】フィリピンの首都マニラで23日、香港からの観光客らを乗せた観光バスが銃を持った男に乗っ取られた事件で、同日夜に特殊警官部隊(SWAT)がバスに突入し、犯人を射殺した。ロイター通信などが伝えた。当局によると、人質15人のうち、8人が死亡、2人が重傷を負った。
バスには当初、香港人観光客とガイド21人、運転手らフィリピン人4人が乗っていたが、警官隊が突入する前に女性や子どもなど9人が解放され、運転手も自力で脱出した。
香港の曽蔭権(ドナルド・ツァン)行政長官は、事件の処理をめぐって、フィリピン政府を批判した。
地元メディアによると、犯人の男は元警察官のローランド・メンドーサ容疑者(55)で、警官隊が包囲する前にラジオ局に対し、警官隊が撤退しなければ人質を殺すと述べていた。
容疑者は1986年に「フィリピンで最も優秀な10人の警察官」の1人として警察署長から表彰されたこともある人物だった。しかし2008年、麻薬関連犯罪と恐喝の容疑がかかり、解雇されたという。「事件には関わっていない」と不服を申し立てており、監察官事務所へ復職を要求していた。
アキノ大統領は24日未明、緊急会見を開き「犠牲者の遺族に深い哀悼の意を表す」と述べ、多数の犠牲者を出す結果となった警察の対応に問題がなかったか、調査すると話した。また投降交渉がうまくいかなかったことについて、容疑者の弟が共謀罪で逮捕、拘束された映像がテレビに流れたことが犯人を興奮させ、事態を悪くさせたのでは、と話した。
一方、中国中央テレビ(CCTV)は事件を大きく伝え、外交部の馬朝旭(マー・チャオシュー)報道官は犯人の暴挙を強く批判し、「亡くなった香港の同胞を悼む」とコメントした。また対策班のフィリピン派遣が決定したとし、「中国人の安全を確保する具体的な措置を講ずることを求める」との声明を出した。