【大紀元日本8月27日】昨秋、太陽電池メーカー大手の米ファーストソーラー社が、中国・内モンゴル自治区オルドス市に発電容量200万kWの世界最大級の太陽光発電所を建設すると発表。オバマ大統領が中国訪問の際に達した米中合意の最重要項目であり、2010年6月までに着工する予定だったが、合意から1年近く経った現在、プロジェクトは停滞状態で、地元企業に入札の旨が伝えられた。 ワシントンポストが8月13日付けの記事で、このプロジェクトを、中国市場への参入を試みる米国企業が直面する落とし穴を警告する一例としている。
昨年の発表時には、米国企業がアジアで急成長する代替エネルギー市場に参入する大型プロジェクトとして注目されたが、中国側のライバル企業が公に不満を示した。今年6月1日の予定着工時期になっても何も起こらず、内モンゴルの政府高官が、プロジェクトを公開入札とする予定だと発表した。
了解覚え書きに記載された今回の契約は、中国政府がオバマ政権を支えていることを示すための「見本」に過ぎなかったと、業界に精通する多くの者が語る。
ビジネスコンサルティング会社APCO Worldwideの大中華圏のマネージングディレクター、マレーキング氏は、ワシントンポストに、中国の指導者は、高レベルの外国訪問の時に大きなビジネスの合意に簡単に署名するが、実際実現できたのはそれほど多くはないと話した。
了解覚え書きは、中国では単なる「一回目のデート」に過ぎず、「必ずしもゴールインできるわけではない」という。
太陽光発電のアドバイザー企業クリーン・エネジー・アソシエーツのアンディー・クランプ代表取締役は、「大規模契約の調停時に多くのメディアが来て、注目を浴びるが、そのようなプロジェクトに限って、成就することはない」と経験を語る。
特に代替エネルギー産業は、地元の企業が数多く存在するため、外資系の参入は容易ではない。
上海のソーラー・エネテク社のCFO、スティーヴ・イェ(Steve Ye)氏によると、同契約が発表された時、多くのソーラーメーカーからの苦情があったという。中国のソーラーメーカーの数は数千に上る。
また、投資家にプロジェクトを明確に伝えるために、政府がエネルギーの価格を保証するという合意のはずだったが、この保証価格を高く設定してしまうと、中小企業が参入できる余地がなくなると、地元の反対にあっている。
オルドス市の高官は、工場建築のプロセスが公開入札になったことを確認。ファーストソーラー社も入札のプロセスを経なければならないという路線が打ち出されている。