【大紀元日本8月30日】中国では河川の水を冷媒に使用する「水空調」と呼ばれる水冷式の空調機がある。浙江省杭州市では多くの家庭や工場で山寨式(非正規)の「水空調」を使用しており、この空調機に使用された地下水は一度きりで廃水に流されてしまう。現在、杭州市では、このような空調機が約5万台使用されており、年間約4500万立方メートルの地下水が消費されている。地下からの過剰な取水により杭州市は地盤沈下の危機に直面している。
この水空調機の原理は、比較的温度の低い地下水を空調機内に送り込み、ファンを通して冷気を送りだし、冷却効果を得るというもの。しかし汲み上げられた地下水は直接下水道に流されており、電力の節約にはつながるが、地下水の資源を大量に浪費する。
「銭江晩報」によると、杭州市郊外の五堡地区の多くの民家からビニールホース2本が室外に出ている。1本は地下に埋められ、もう1本は排水溝に水を流し続けている。これは「水空調」の上水と排水の管だという。縫製工場の社長を務める王氏は、2年前から工場にこの「水空調」を設置し、もともとあった5台の普通空調機はまったく使っていないという。
現在、杭州市にはこのような水空調が5万台存在している。1台につき1時間1立方メートルの地下水が消費されるため、1日10時間使用すれば毎日10立方メートルの水を消費していることになる。夏季に3か月間使用する場合、1台の水空調は年間900立方メートルの水を消費することになる。5万台の年間地下水消費量は4500万立方メートルとなり、貯水量は約1030万立方メートルの西湖(杭州市の主要貯水湖)の4個分の水量に相当する。
浙江省地質環境監督総局の専門家によると、現地では例年、地下水資源の赤字状態が続いており、嘉興、台州、温州などは地下水不足が深刻な地区となっている。杭州も地下水不足の地区に属し、過剰に採取すれば水位下降の問題も含め区域性の地盤沈下や水質変化が起こりうる。沿海地区では、海水の浸蝕を引き起こし地下水の塩化などさらに深刻な結果をもたらすと危惧されている。