【大紀元日本8月31日】ワシントンDCのリンカーン記念堂前で28日、保守系のトーク番組の司会者として知られるグレン・ベック氏が、伝統価値観の回復を呼びかける数万人規模の集会を開催した。
同集会は、ちょうど47年前に、アメリカ公民権運動の指導者・キング牧師が、人種差別のないアメリカ社会を描いた「私には夢がある」の演説をしたのと同じ日と場所を選んで開催された。米国はすでに方向感を失い、「神から離れている」とベック氏はスピーチ、「信仰、希望、慈善」に戻るよう参加者に促した。
グレン・ベック氏がアンカーとなる米フォックスニュースの人気番組では、ナチや旧ソ連などの全体主義を批判する政治色が強いが、今回の集会は、「政治的ではない」と同氏が事前に主張し、アメリカ本来の自由に対する価値観を復活させようという幅広いテーマで行われた。
CBSニュースなど米国内メディアの報道によると、参加者は10万人弱で、非アフリカ系が特徴的。
08年大統領選の共和党副大統領候補のサラ・ペイリン前アラスカ州知事は、アメリカは歴史的な交差点に佇んでいると指摘し、「一部の人間の意図でアメリカを根本的に変革させてはならない」と、管理の方向へ進む現政権への批判を臭わせた。
論争を招く発言で知られる保守派のテッド・ヘイギー(Hagee)牧師は、集会を「アメリカの神聖な宿命」と呼び、「政治的に正しいという靄(もや)のため、米国人が歴代の神聖な人物の高潔さと明確な倫理と出逢う機会を妨げてしまっている」と指摘した。
スローガンを掲げた横断幕は見られず、星条旗が掲げられ、参加者が自己の道徳観を振り返る集会となった。
一方、キング牧師が人種差別のないアメリカを主張したのと同じ日・場所で同集会を開催したことに批判の声も聞こえる。
(編集・鶴田)