【大紀元日本9月1日】中国の温家宝首相は8月29日、第三回日中ハイレベル経済対話に出席した日本代表団と会見し、中国にある日系企業は従業員の賃金を引き上げるよう求めた。専門家は、同首相が社会の安定を最重要視しているため、このように発言したと分析している。
今年に入ってから中国南部の珠江デルタで日系企業を中心に賃上げを求めるストライキが頻発し、その後、待遇の改善を求める労働争議の波が全国に広がった。
北京大学経済学院の夏業良教授は米VOA放送の取材に対して、日中両国の政府指導者が会見する場で中国側が賃上げを求めたのは、社会の安定に対する懸念が温首相にはあるからだと指摘する。
夏教授は「政府の最大の関心事は社会の安定。従業員の待遇問題が解決されなければ、ストライキが多発し、社会の安定に影響しかねない。政府は労使問題の円滑な解決を望んでいる」と述べた。
一連のストライキは外資企業、特に日系企業の待遇が良くないという印象を人々に与えたが、同教授は「外資企業を槍玉に挙げているだけだ。中国資本の企業に低賃金の問題がないというわけではない」とも指摘した。「外資企業は戦いやすい相手だろう。中国資本の企業は政府部門と利害関係にあるから、従業員には勝ち目がないのではないか」とストライキが外資企業に集中する理由を解説した。
さらに、改革開廟xun_ネ来、中国国内のGDPが毎年10%前後で成長しているものの、従業員の待遇には大きな改善が見られないことも指摘した。中華全国総組合の2009年の調査によると、23%の従業員は5年間賃上げされておらず、61%の従業員は社会で最大の不公平は収入の格差だと考えている。
一部の専門家は中国政府の賃上げ要求は消費を刺激するためだと分析しているが、夏教授は「長い目で見れば、供給の水準が変わらない限り、単なる賃上げはインフレを引き起こす恐れがある」との見方を示した。