温首相、政治改革に言及 内部分裂激化の証しか

2010/09/01 更新: 2010/09/01

【大紀元日本9月1日】「政治体制の改革を推進しなければ経済改革によって得られた成果が再び失われる」。中国の温家宝首相が8月下旬、改革開放のモデルとして実施して30年を迎えた深圳市を視察した際のこの予想外の発言は、国内外の高い注目を集めた。少し前に報道された中国国防大学トップの劉亜州将軍の現政治体制に対する厳しい批判に続き、温首相の政治改革への言及は、中共党内の改革派と保守派の闘争が一段と激しくなったことを示唆していると思われる。

中共は第13回党大会以降、政治改革への言及はしなくなり、それ以来あらゆる改革を「行政制度の改革」と位置づけてきた。今回、温首相が政治改革に明言したことは尋常な現象ではないと取られている。海外メディアの最近の報道によると、「太子党」を主体とした保守派が第18回党大会以降に望む人事は、習近平が総書記・主席で薄煕来が総理を務めるという「習薄ペア」だが、改革派は、「太子党」を権力の中枢からことごとく追い出し、現副総理の李克強が総書記・主席で現副総理の王岐山が総理を務め、王滬寧が宣伝部長を務めることを望んでいるという。

2012年の開会を控え、人事闘争がますます激しくなっている今、温首相の発言は改革派が態度を表明したものと読まれている。それを裏づけることとして、保守派は最近たびたび温首相の「民主」言論に反撃し、中国は絶対「三権分離」を実施しないと明言したことがある。

内部闘争が表面化

6月2日、温首相はNHKのインタビューを受けた際、政治改革を行うべきだと強調した。その内容として、「社会主義的民主政治の建設、公民の選挙権や知る権利や参政権や監督権を保障し、社会主義の法治を完備させ、法をもって国家を治め、法治国家を建設すること、社会の公平と正義を実現すること、人々の自由及び発展を実現するなど」を挙げた。

8月21日、温首相は深圳市を視察した際に、「経済改革ばかりではなく、政治改革をも推進していかなければならない。政治改革の保証がなければ、経済改革の成果も失われ、現代化建設の目標は成し遂げられない」と、政治改革について明言した。

8月初め、中国国防大学トップの劉亜州将軍は政治改革について、「10年以内に政治体制の転換が起こることを回避できない」と大胆に発言した。劉将軍はソ連の崩壊の例を挙げ、体制の改革を行わなければ「必然的に滅びる」と断言した。

一方、中共党内には従来から政治改革に反対する勢力が強く、中共宣伝部は5月に「人民日報」で「いくつかの重大な問題に答える」と題した長文を掲載し、中国では三権分立を行うことができないとしたうえで、「長い間、ごく少数派は三権分立という政治体制を鼓吹し、我が国の政治改革と司法体制改革の方向、さらには我が国の政治制度を根本から変えようとしている」と批判している。

中国の保守派はつねに温首相の言行を批判している。今でも左派のサイト「文革研究」には、元中共中央政策総合研究局長・張徳勤氏が09年に発表した「温家宝首相に対する六つの意見」が載せられ、温家宝首相が中国の特色ある資本主義思想をさらに発展させたなどと批判している。

温首相は2月22日に中央高官による新年のあいさつ会に出席した際、人間の「尊厳論」を言いだしたが、その後批判の波が激しく寄せられていた。軍の機関紙「解放軍日報」は軍関係者の文章を掲載、「尊厳とは実力でものを言う」ことや「国家の強大こそ最重要だ」とし、温家宝の「尊厳論」に反撃している。

保守派の異常な動き

中共内部において、改革派と保守派は常に論戦し合っており、その焦点は毛沢東に対する評価となっている。薄煕来が左派の領袖として「革命の歌を歌い、マフィア組織の取り締まりを行う」ことをもって国民の支持を得ようとしている。一方、改革派は毛沢東の諸問題をつねに言及しつつ、天安門事件で失脚した趙紫陽前総書記の功績を讃えるのである。「炎黄春秋」がその代表的な刊行物である。

左派の人たちは言論にとどまらず、さまざまな行動も見られる。たとえば、「真の共産党」を作ろうとすることや、各地で労働者によるストライキを企画、組織するなどである。このほど、各地で起きたストライキブームは実は、左派たちの「傑作」だったと言われている。特に日系企業をターケットにして民衆の感情を扇る狙いであるという。

政治改革は実現しうるか

一方、温首相および劉亜州の政治改革についての言論は、中共の延命のための一手法に過ぎず、その詐欺性を見抜くべきだとの論調もある。

海外中国語衛星放送・新唐人TVのコメンテーター竹学葉氏は、中共が政治改革を行うことは考えられない。たとえ政治改革を行っても、国民が望んでいるようには実現できず、ただ延命するための一手段に過ないと述べた。

政治評論家・三妹氏は、共産党独裁政府は機会主義と実用主義の段階に入っており、もう一人のゴルバチョフを生み出すことはないし、すでに手に入れた利益と権力を譲ることはないと考えている。かつての旧ソ連のインテリたちのように共産党を徹底的に否定するということがない限り、政治改革などは望めず、その場合は、中共が崩壊して初めて真の民主自由が実現できるのであるとしている。

(翻訳編集・小林)
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