【大紀元日本9月6日】先日、広州市清平の生薬問屋で行なわれた抜き打ち検査で、13種の生薬のうち、半数以上から1キロ当たり500ミリグラム以上の硫黄が検出された。この数字は、国際基準をはるかに超えている。中国紙「新快報」が伝えた。
中国では漢方生薬を硫黄(いおう)で薫製にすることを「打磺(だこう)」と呼ぶ。これは防虫や品質保持のために行われているが、最近、硫黄の粉末を直接生薬にふりかけるやり方が流行っている。それによって、生薬の硫黄含有量が基準値を遥かに超えるケースが多いという。
業界関係者によると、基準の混乱や管理の不徹底により、「打磺」は野放し状態で、二酸化硫黄は漢方生薬界の「メラミン」と呼ばれている。専門家は、過度に硫黄を使用すると生薬の性質を変化させ、重金属中毒を引き起こす可能性もあると指摘する。
報道によると、今年6月、広州市清平の市場で購入された13種の漢方生薬サンプル千グラム当たりに検出された二酸化硫黄の含有量は、党参(とうじん)3410ミリグラム、当帰(とうき)1450ミリグラム、川貝母(せんばいも)922ミリグラムで、その他にも5種類のサンプルから100ミリグラム以上1000ミリグラム未満の二酸化硫黄が検出された。これらの生薬の原産地はそれぞれ甘粛、雲南、河北、東北、湖南、内モンゴル、寧夏など。一方、09年に韓国で規定された基準によると、漢方生薬の二酸化硫黄含有量は千グラムあたり30ミリグラム以下となっている。
清平市場では、生薬に硫黄をふりかけることは「公然の秘密」。卸売業者や小売の生薬のほとんどは、劣悪な「打磺」の過程を経て販売されている。卸売業者はこれについて悪びれる風でもなく、「打磺された生薬は確かに良くないが、しかし、よく売れている。見た目が良いから多くの客に人気がある」と話した。
ある漢方薬店の経営者に「なぜこの当帰はこんなに白いのか」と尋ねると、はっきりと「硫黄を使用しているからだ」との答えが返ってきた。党参を保存している倉庫では、むせ返るほどの臭気が立ち込めている。これは硫黄を使用しているためで、硫黄がなければ鮮度を保持できずに腐ってしまうと経営者は話した。
また、別の漢方薬店の店内では百合根が干されており、「それらの百合根にも硫黄をかけて鮮度を保つ」と経営者は話している。
漢方薬店の経営者の話によると、硫黄をかけていない生薬もあり、価格の差はそれほどない。しかし、硫黄を含まない生薬は見た目が良くないので、通常バラで販売されている。また、多くの漢方薬店の経営者らによると、市場で売られている漢方生薬のほとんどは「打磺」されており、ただその使用量が多いか少ないかだけの問題だという。生薬の「打磺」はほとんど、加工工場で行われている。
二酸化硫黄は肝腎機能に影響を及ぼす
硫黄は燻製する過程において酸素と結合し、二酸化硫黄を作り出す。二酸化硫黄は人体に有害な物質で、長期間接触すると粘膜細胞に異変が起きる。人体の気管粘膜、食道粘膜に深刻なダメージを与え、肝臓と腎臓の機能も直接影響を受ける。
「打磺」の加工者は硫黄に接触するので、中毒を起こすケースも多い。症状としては目の充血、痛み、涙、不眠、眩暈、嘔吐、悪心、虚脱感などがあり、重症になると反射性声門痙攣を起こし、話す能力の低下、嚥下困難、息苦しさなどが起きる。
硫黄が使用された生薬は酸味のような臭いがあり、使用量が多いとむせるような臭いがするという。この他に、「打磺」されているものは、そうでないものより水分含有量が多く、分量が重い。外見は不自然なほど色鮮やかになるものもある。