【大紀元日本9月16日】日中戦争につながった満州事変(中国名・九一八事変)のきっかけとなった柳条湖事件から79年を迎える今月18日、北京で大規模な反日デモが行われる可能性があると、15日付の朝日新聞が報じた。中国の公安当局は警戒態勢を敷いているが、デモを容認する姿勢を示している。
今回のデモは、中国民間保釣連合会(尖閣諸島の中国名・釣魚島)がネット上で呼びかけたもので、大学や企業、政府機関などがこれに応じる姿勢を見せているという。
同記事は公安関係者の話として、反日デモは18日午前、日本大使館に近い日壇公園など数カ所から日本大使館を目的地に行進すると伝えた。北京の公安関係者によると、当日は北京市内の警察が全員出動し、日本大使館や日本食レストランなどを重点的に警戒に当たるという。
「民族主義は両刃の剣」
中国共産党政府にとって、民族主義は両刃の剣だと民主活動家・曾寧氏は語った。国民の反日感情を容認・煽動し、国民の前で面子を保ちながら日本に圧力を掛ける一方、反日感情が高ぶり、いずれ批判の矛先が自らに向けられると危惧していると分析している。
また曾氏は、「中国のここ100年の歴史を見ると、ほぼすべての民主運動は民族主義の狭義的な愛国運動からはじまり、次第に反独裁、民主と人権を求める、より広義的な運動へと発展している」と指摘する。
今回も中国政府は、一部の反日運動を容認して国内世論を鎮めつつ、タイミングを計って急ブレーキを踏むと予測する。つまり、事態が拡大する場合、容認した反日運動に「反政府運動の元凶」と罪名を被せ、鎮圧に転じる可能性があると曾氏は分析する。
反日デモを呼びかけている保釣連合会は接触事件発生後、沿岸各地で漁師たちの決起集会を組織させ、集団で尖閣諸島近海に向かい漁を行おうとしたが、地元警察に停止され、送還された。また11日にも、同連合会は北京の日本大使館前で抗議活動を行おうとした際、警察に制止されている。
海上保安庁の巡視船との衝突事件で拘束中の船長の祖母が、孫の逮捕による精神的ショックで他界した。同連合会メンバーは献花に向かったところ、遺族に付き添っていた公安に、地元に戻るよう命じられたという。
今回報じられているデモについて、中国政府は、国内の反日感情が高まるなか阻止の姿勢を見せると「領土問題に消極的だ」と批判されかねないとの恐れを抱いている。また、活動が全国に広がって、多くの社会不満が一気に噴出し、反政府運動へ発展することを危惧しており、北京をはじめ各地で特別警戒体制を敷いている。