日本政府による市場介入、円高抑制効果は短期的か

2010/09/18 更新: 2010/09/18

【大紀元日本9月18日】民主党代表選で菅直人首相が圧勝し、続投が決定した9月14日、市場では、菅首相が「為替介入に慎重」のため、市場介入の可能性が低いとの見方が広がり、東京外国為替市場やニューヨーク市場で円買い注文が殺到。ニューヨーク市場では一時1ドル=82円92銭を付け、1995年以来15年ぶりに、ドル/円 為替相場が82円台に突入した。

しかし、市場の予測とは裏腹に、日本政府は翌日の15日に東京為替市場、その後のロンドン市場、ニューヨーク市場市場で、規模にして総額1兆円に上るドル買い・円売りの電撃的な介入が行われた。これを受け、東京市場では円相場が1ドル=85円台に下落し、日経平均株価指数も急反発して9500円台に回復した。

東京市場での市場介入後、野田佳彦・財務相は緊急記者会見を開き、日本単独の円売り介入を行ったことを公表した。「日本経済はデフレが進み、依然として厳しい経済状況にある。こうした中で(円高の)動きは経済、金融に悪影響を及ぼし、看過ごすことはできない」と背景を解説し、今後も「必要な時には為替介入を含む断固たる措置を採る」との考えを示した。6年半ぶりの市場介入となった。

急激に進んできた円高は、企業の輸出競争力に影響を与えており、国内では工場や技術ノウハウの海外移転による雇用機会の減少や産業空洞化への懸念が日増しに強まり、日本経済に大きな圧力をかけている。そのため、政府は8月以来数回にわたって、円高をけん制するための口先介入を行ったが、いずれも効果が現れなかった。一方、8月30日に日本銀行(中央銀行)が臨時金融政策決定のための会合を開き、年0.1%の超低金利で資金を供給する「新型オペ」の供給額を現行の20兆円から30兆円に増額するなどの追加金融緩和策を決定した。しかし、その後の市場の反応から見ると、日銀の追加金融緩和策の効果は限定的だった。

また、今年に入ってから、中国当局による日本国債の購入額の急増が円高の一因である、と政府および市場関係者は指摘している。野田財務相は9月9日、中国当局による日本国債購入について「動向を注目している。本当の意図は分からない」と警戒感を示し、中国側の意思を確かめながら推移を見守ると述べた。財務省によると、中国の7月の日本国債買越額は5831億円で、うち短期債券の買い増し額は6408億円。今年1~7月の日本国債累計買越額は2兆3157億円に達し、2005年通年の9倍となったという。

一方、6年前の市場介入とは違い、今回の介入は米国政府などの他国からの協力はなく、日本が単独に行っている。単独介入について、多くのアナリストは円高抑制の効果が比較的薄く、また単独介入を繰り返して行えば、他国から批判されることは必至との見方を示している。

現在多くの市場関係者は、実質上、欧米政府によるドル安、ユーロ安基調の容認姿勢が変わらない限り、また、欧米諸国の経済景気や雇用情勢が好転しない限り、中長期的な円高基調は続くだろうと認識している。

(翻訳編集・張哲)
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