中国宗教事務局の王作安・局長は、先週15日に台湾を訪問した際、台湾法輪大法学会に、法輪功への集団弾圧を陣頭指揮した罪で告訴された。前日の14日、台湾を訪問中の陝西省趙正永・代理省長が同団体に刑事告訴されたばかり。
台湾法輪大法学会は、台湾の高等裁判所の検察署にジェノサイドと民権公約違反の罪状で二人をそれぞれ刑事告訴し、身柄拘束を要求した。同検察署は訴状を受理した。
原告側弁護団の朱婉_qi_・弁護士は検察署に対し、被告人の法輪功弾圧を陣頭指揮した事実をそれぞれ陳述した。それによると、王作安・局長は国内では宗教界、教育界、メディアを通して、法輪功に犯罪の濡れ衣を着せて、悪魔に仕立てる詐欺宣伝を繰り広げ、国民に法輪功への怨恨感情を煽ぎたてたこと、国外では米国や他国との宗教交流活動を通して、同様な宣伝を行ってきたという。
また、趙正永・省長について、同弁護士は同被告人は所轄地区で法輪功愛好者への拷問を命じたり、法輪功への怨恨感情を煽ぎたてる宣伝を行ったりして、積極的に弾圧の陣頭指揮を取ったなどと陳述した。
豪州に在住する中国の元外交官・陳用林氏は、中国宗教局は宗教団体を制圧し、国民にマインドコントロールを講じるための組織であり、法輪功への弾圧について、王作安・局長は主要な責任を負うべきだと指摘した。「台湾の法輪功愛好者だけでなく、台湾全国民はそのような人権弾圧の首謀者にノーと告げるべきだ」と語った。
「法輪功迫害真相調査連盟(CIPFG)」アジア調査団の団長で、立法院(国会にあたる)議員・頼清徳氏は、二人の台湾訪問について、「中共高官の訪問に関して、わが政府はその人権問題に関する前歴を把握した上で訪問を受け入れるかどうかを判断すべき。そうしないと、社会の正義良識を誤って誘導する恐れがある」と述べた。
台湾の民間団体「司法改革基金会」の代表・林峰正氏は本案について、「検察署には真に国内法に基いた対応を望む」などと述べた。
1999年7月中国大陸で弾圧され始めた法輪功団体は、近年世界各地で、弾圧を直接指揮した中共高官に対して訴訟を起こしている。昨年12月にアルゼンチン連邦裁判所は、中国の前総書記・江沢民と最高指導部の元高官・羅幹を、法輪功への集団弾圧の主導者として、ジェノサイド(集団虐殺罪)と拷問の罪で刑事訴訟手続を起動し、二人に国際逮捕状を発行した。同じ時期に、スペインの裁判所が羅幹を刑事告訴した。
(※)法輪功(ファルンゴン)は法輪大法とも呼ばれ、気功によって健康を維持すると同時に、「真・善・忍」の原則を生活で実践して精神の向上を図る、中国の伝統的な身心鍛練法。1992年5月に創始者の李洪志氏によって伝えだされ、優れた健康維持効果で速やかに中国本土で広がった。1999年7月に中国当局に弾圧されるまで、愛好者は1億人に上ったと推定されている。法輪功の公式サイトは、10年間に及ぶ弾圧によって少なくとも3400人が拷問などで死亡、数十万人が投獄されていると発表した。