【大紀元日本9月23日】中国政府が発行する中国外交白書2010年版に、「中国外交における国境と海洋政策」と題する章が導入され、国境と海洋権益に関する中国外交の取り組みを解説していることが明らかとなった。また、主権と領土の完全で安全な利益を強調する「安全外交」のコンセプトにも初めて言及している。
中国外交部が編集した463ページの同白書は、9章から構成される。国家間の外交関係においては、米中関係が最も多くの量を占めている。
「中国外交における国境と海洋政策」の章は、6ページにわたり、陸地境界、国境管理、協同開発、周辺国家との海洋権益問題という4つの側面を紹介し、国境と海洋政策は国家主権、安全と発展の利益に肝要であると強調した。中国は陸上では12の隣国と国境争議を解決したが、「歴史上の要因から、周辺国との境界規定は完了していない」「釣魚島(日本名・尖閣諸島)と南沙群岛(スプラトリー諸島)の帰属権に関して、中国は日本やベトナムなどの国家と争議しており、南シナ海、東シナ海、黄海の海域の規定についても、周辺国家との間に一定の争議が存在する」と言及した。
また、同白書は、東シナ海やその他の海域に関して、沿岸から200カイリの排他的経済水域のほかに、海底の大陸棚に対する権利を主張している。すでに「国連海洋法条約」が設立した大陸棚限界委員会に関連資料を提出したという。同時に「中国は、国際法に基づき、公平の原則に従って、平和的な会談と協議の方式で、沿岸の隣国あるいは向かいの国との間で、専属経済区域と大陸棚の限界を規定するという一貫した立場に従う」としている。
中国外務省総合研究室で外交を専門とする呉妙発氏は、中国国内紙の取材に対して、国境と海洋問題について新たな章を設けたのは、中国が同問題を強く重視しているとの姿勢を各国に表明するためであるとコメントした。各国が資源とエネルギーの争奪戦を繰り広げる中、中国が現在直面している陸地や海洋上における争議は、現在の国際紛争において極めて重要な焦点となっていると同氏は指摘する。
一方、今年1月に同白書を書き始めたころの発表では、国境と海洋権益の外交政策を強調することには言及していなかったことから、海洋権益を重視する外交姿勢は、編集を進める途中で追加されたのではないかと考えられる。
また、1月の時点の紹介では、日中関係の部分について、「民主党が初めて政権を執り、友愛外交を提唱し、東アジア共同体の設立を提案する」「中日間の戦略的互恵関係は、日本の新政権下でも引き続き発展する」と言及していた。今回発行のバージョンでも、この部分はそのままであり、尖閣諸島沖で起きた漁船衝突事件で緊迫している現実とはかけ離れた部分が見られる。