【大紀元日本10月1日】世界のルールを離れて自分のルールをどんどん作っている共産中国。どうやら人権への定義も違うようだ。言論の自由や集会の自由などは、人権に関する一般的な理解だが、中国国務院が最近発表した人権白書「2009年中国人権事業の発展」では、マイカー保有率を人権の指標と見ている。
「人権白書というより、数字や美化された分析で固められた国家進歩報告のようだ」。9月27日付のウォール・ストリート・ジャーナルは、「2009年中国人権事業の発展」をこのように皮肉った。
その具体例として、同記事は白書で論じられたいくつかの人権の「改善」を分析している。
白書では、人権保護の重要なパラメーターとして自動車所有権が挙げられている。第1章「人民の生存権と発展権」には、09年末には全国の乗用車所有台数は前年比28.6%増の3136万台、うち個人用乗用車は前年比33.8%増の2605万台に達したと綴られている。さらに、第3章「人権の司法保障」に再び自動車が登場し、運転免許の取得条件の緩和が言及され、身体障害者への配慮を謳った。
また、第2章「公民権利と政治権利」では、「インターネットが普及し広く利用されている」と書かれており、国民の29%に相当する3.84億人がインターネットを利用しているという。ネット利用者は「言論の自由」を享受しているとも記述。しかし、ユーチューブやフェイスブックなどの人気サイトへのブロック行為や、インターネットで流れる情報や掲示板の書き込みに対する厳しい検閲については、一言も触れられていない。
さらに、第4章「経済、社会、文化の権利」では、09年のテレビ電波普及率は97%であることが挙げられているが、その電波が伝えるほぼすべての内容は当局の管轄下にあることには、当然ながら言及されていない。
中国の人権白書は、人権の進歩を自動車やテレビ、パソコン所有率の上昇や食料生産量の増加に履き違えていると同記事は指摘した。
さらに同記事では、国際人権団体、ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア支部のリチャードソン主任の話として、白書は「よく言うと現実離れしており、悪く言うと下手に粉飾している」と批判した。また、現政権に異を唱える活動家らへの迫害についての「記述漏れ」に関しては、「特に憤りを感じる」とリチャードソン氏はコメントした。