【大紀元日本10月19日】4年に1度行われる大統領選の中間に当たる今年、アメリカでは連邦議員や州知事を選出する中間選挙が11月2日に行われる。今年の選挙戦では「中国」が保守派のやり玉にあげられており、少なくとも29人の議員候補者が選挙用テレビ広告で、対立候補の親中行為を批判した。
これらの広告は、中国をアメリカ経済を脅かす存在と見なしており、「人の弱みにつけ込んで自分の勢力を拡大するしたたかな中国経済を非難している」と、18日付のラジオ・フランス・インターナショナル(RFI)が報じた。
オハイオ州議員のザック・スペース氏は、選挙広告で中国を代表する「龍」を登場させ、「中国人がみんな言う、ありがとう、ギブスさん」と揶揄する。対立候補の共和党ボブ・ギブス氏が推進した中国との自由貿易政策によりオハイオ州の雇用が減ったことを非難した。
また、ペンシルバニア州のジョー・セスタク下院議員は、対立の共和党パット・トゥーミー元下院議員を「大富豪のパット・トゥーミーは雇用のために戦っている。中国で」と皮肉る。「彼がウォール街、香港の大物実業家に便宜を図り、議会で中国への最恵国待遇に賛成票を投じたことで、240万人の米国民の雇用が失われた」とテレビ広告で批判した。
ハリー・レイド上院院内総務もネバダ州で共和党のシャロン・アンジェル候補を「外国の労働者の最高の友人だ」と冷やかす。
「雇用」というアメリカ人の最大な関心事をめぐって各候補が選挙戦を繰り広げているなか、「中国はちょうどいい標的になる」と専門家が指摘する。
また、14日に発表された8月の貿易統計では、アメリカの対中貿易赤字が急増したことを示し、貿易赤字が米国内の雇用に及ぼす影響について、すでに繰り返し言及されている今回の選挙戦にさらに追い打ちをかけた。人民元の過小評価が貿易不均衡の原因だとして、中国の為替政策に対する米国の怒りが一層かき立てられている。
一方、米民間調査機関ピュー・リサーチ・センターが4月に行われた世論調査によると、41%のアメリカ人は中国が世界一の経済大国になると認識しており、自国が1位と認識する人よりもわずかに多い。アメリカの国際社会での地位が中国に脅かされており、中国がアメリカのかわりに世界経済のリーダーになると米国民が懸念している。
国民の懸念に米中貿易摩擦、それらに焦点を合わせた今回の中間選挙の広告作戦が、アメリカ人の中国に対する敵意を増幅させ、すでに緊張している米中関係をより複雑化させるとの見方もある。