【大紀元日本10月20日】9月末、中国政府当局は不動産市場抑制対策の追加を発表した。新政策には1件目の住宅を購入する者に対して支払う頭金の割合は、住宅ローンの30%以上とすることや、第3件目またはそれ以降の住宅に対して住宅ローンなどの融資を一時中止すること、固定資産税などの課税制度テスト実施の地区範囲を拡大するなど、5つの内容が含まれている。また、10月7日、上海市政府も、上海市民に対して1世帯当たり1件の新規住宅の購入に限るなどの新たな住宅購入規定を発表した。
しかし、国内の一部の業界関係者は、中国人民銀行が利上げなどを含む金融引締め政策を実施しない限り、不動産市場に流入する資金が依然に潤沢であるため、今後も不動産価格は引き続き上昇基調となるだろうと予測している。
不動産バブルが徐々に弾けるか
一方、独立した経済評論家の謝国忠氏は、10月10日、国内の「毎日経済新聞」で、新政策は不動産バブルの破たんを阻止することができ、バブルは徐々に消えていくだろうと語っている。
謝氏は、2002年から急増するマネーサプライが不動産バブルが生じた主因であると指摘。「(2002年以降)米ドルの為替相場が下落し始めたため、市場の人民元高観測が広かったと同時に、マネーサプライが大幅に増えた。当時の中国は、紙幣を大量に印刷・発行していたにもかかわらず、元を切り上げないため、マネーサプライの急増を促した」とし、マネーサプライの一部は不動産市場に流れ、残りの部分が実体経済に流れたため、現在のインフレを引き起こしたと解説する。謝氏は、マネーサプライの急増が原因で不動産市場におけるインフレが特に深刻化しているという。
9月末に中国政府が発表した新たな不動産価格抑制政策については、「的を射た政策で、バブルの最終的な破たんを抑え切れる」と話した。謝氏は投資資金が不動産市場に流れなくなれば、バブルは自然に破たんするとしている。
また、新たな不動産価格抑制政策の実施により中国のマクロ経済や他の領域における投資への影響について、「中国経済成長のペースは落ちるが、不動産価格の下落で、政府が入手する資金は少なくなり、政府の支出が制限される。一部の地方政府が投資に走ることの背後には、財政収入が関わっている。この問題を解決しない限り、経済発展方式の転換が難しくなる」と警鐘した。
今後5年間はペア相場
謝氏は今後5年間で、中国主要都市部の不動産価格が半分以下に急落するとの予測について、「政府は現在、2件目または3件目の住宅購入に関しての融資の制限を緩めていないから、最も有力な住宅購入者の購買意欲が制約された。これらの購入者は充分な現金がなく、主に住宅ローンに頼っている。そのため、現在、不動産価格には上昇する力が欠けている。また、人民元切り上げ問題で、通貨の流動性も収縮している。中国不動産市場はすでにベア相場に入っており、これから5年間も続くだろう」と述べた。
「現在価格上昇の観測が後退している中、賃貸住宅の収益率と住宅価格対収入比が投資収益を測る決定的な要因となる。1平方メートル当たりの住宅価格は2カ月分の賃金を超えてはいけない」という路線を示した同時、住宅の減価償却率を考えると、中国の賃貸住宅の収益率が5%であれば正常だとしている。
中小都市の不動産価格が上昇するだろう
一方、中小都市の不動産市場価格は、依然として上昇の可能性があると謝氏は語る。「大都市の土地を買えなくなる不動産開発企業は、中小都市に目を向けるようになるだろう。しかし、一般に大都市が好まれる傾向があり、長期的に見れば中小都市の不動産には高い投資価値がない。しかし、投資と頻繁な売買といった投機は違う概念であるため、中小都市の不動産価格は、投機家による頻繁な売買を通して上昇する余地がある」と解説する。
利上げは実際の経済状況に照らして判断すべき
また、中国が年内に金利を引き上げるか 否かについて、謝氏は「実際に、銀行間の短期資金市場において、金利がかなり上がっている。また、国が提供する低利息の住宅ローンを含む融資の金利も上がっている。現在中国の人々の貯蓄意欲が減退しているため、金融機関の間で預金競争が激しくなっており、預金金利を上げている。したがって、(利上げの)判断は実際の状況に基づけなければならず、政府の発表を待つのではないと思う」と述べた。