【大紀元日本10月25日】北京市では最近、金の延べ棒や金の装飾品の取扱い店に、金を購入する消費者が殺到。中でも重量100グラムの金の延べ棒が人気商品だという。懸念されるインフレへの対策として、さらに金が上昇する前に蓄えておこうとする動きである。10月20日付の「北京晨報」によると、北京市の金の取扱い店は9月25日と10月8日に金の店頭販売価格を引き上げたばかりで、消費者は今後も販売価格が上昇していくだろうと予測している。
相次ぐ不動産価格抑制政策を打ち出す中国政府。そして、先週、中国人民銀行が、突然の利上げを発表した。この動きは、中国国内の金融市場に止まらず、米国をはじめとする国際金融市場にも大きな波紋を与えた。多くのエコノミストは、今回の利上げは、物価高騰によるインフレへの高まる懸念が原因と分析している。
インフレ懸念が高まる中で、安全な資産である金の実物購入が急増したという。北京で金の延べ棒や金の装飾品を取り扱う工美大厦の担当者によると、金販売量は前年同期と比べ50%増加しているという。北京晨報が報道している。
一方、物価急騰の対策として、国内各地で今後さらに価格が上昇すると見込まれる食用油や砂糖を大量に買い込む人が増えているという。19日付の「南京晨報」によると、同市内の多くのスーパーマーケットで、一部の食用油や砂糖がすでに品切れになっているという。
中国政府当局によると、食品や穀物を中心とする物価高騰のため、7月の中国の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で3.3%上昇、8月のCPIは同3.5%上昇と2カ月連続で年間目標である3%を超えた。さらに、21日、当局は9月のCPIは同3.6%上昇したと発表した。CPIの上昇率として約2年ぶりの高水準を記録した。市場では、インフレリスクを抑制するため、中国政府による追加利上げの観測が高まった。
海外株式市場および商品市場が下落
中国人民銀行による利率引き上げ発表を受けて、20日、中国国内の株式市場で不動産関連の株価が急落した。同時に、債券市場では金利の先高感が強まり、債券利回りが上昇した。
一方、海外市場では中国の利上げの影響で、為替市場ではドル買いが優勢となり、米ドル/円は一時1ドル=81円88銭まで上昇した。しかし、中国経済の景気が鈍化する懸念から、米国ダウ工業株30種平均の19日の終値は11000ドル台を割り、前日比1.5%安の10978.62ドルを付けた。また、日本株式市場や香港株式市場も20日の取引で、中国利上げの報道と前日の米国株安を受けて、それぞれ反落した。
商品市場でも、国際原油先物価格(米国産標準油種WTIの中心限月11月物)は前日終値と比べて4%と大幅に下落し、1バレル=79.49ドルで取引を終えた。また、金先物価格(12月物)も前日終値と比べ、2.63%安の1トロイオンス=1336.00ドルと2週間ぶりの安値となった。
海外からの資金流入が加速
インフレリスクおよび国内不動産価格高騰の抑制措置として実施した今回の利上げは、米国など先進国との金利差を狙う海外からの投機資金の流入を加速させるという逆効果があることも指摘されている。巨額な投機資金の流入により、人民元上昇のペースが加速し、不動産市場や株式市場に大きな混乱がもたらされる可能性がある。中国人民銀行は投機資金の大量流入を警戒して、20日人民元の基準レートを1ドル=6.6754元と前日比0.3%元安水準に誘導した。