【大紀元日本10月31日】ベトナムで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)の会議期間中の29日夜に予定されていた日中首脳会談が直前になって中国側が会見拒否した理由について、中国側は「日本が会談のムードを壊した」とし、日本に責任を負わせたい意図を示した。
日本メディアによると、日本側政府は会談キャンセルの理由がフランスの通信社AFPの誤報ではないかと指摘し、同社に記事の訂正を申し込み、同社は訂正記事を配信した。
フランスのAFP通信は29日、同日午前に行われた日中外相について、前原外相の発言として、東シナ海ガス田開発の交渉再開が合意したとの内容の報道を出していた。胡外務次官補は、「日本側が最近、両国外相会談の内容に関する不実な情報を撒き散らしている」と発言しており、日本メディアはAFPの誤報を指摘していた。
AFP通信は30日、外務省の訂正申し入れに対応し「ガス田交渉再開に合意したと言っていない」との訂正記事を配信した。
福山哲郎官房副長官は29日、日本側が意図的に誤報を「撒き散らした」との中国側の見方について、記者団に対し「こちらが流した事実は一切ない。根拠のない報道により、会談をキャンセルしたのであれば非常に遺憾だ」と述べた。 また日本側は(ガス田交渉再開は)誤報であることを伝えたが、中国側は「報道したから会談できない」と、というやりとりが続き、話し合いは平行線だったという。
同外務次官補は、「ASEAN関連会議の直前に、日本の外交当局の責任者が他国と絡んで、再び尖閣諸島の問題を引っくり返した。その上、日本側はASEAN会期中に、メディアを通して中国の主権と領土の保全に侵害する言論を流しているためと発言した。
民主党内で、突然の会談キャンセルについて中国への不信感、警戒感を示す議員は多いと、産経MSNが伝えている。中堅議員は「中国お得意の揺さぶりだ。原則論を主張して、毅然としなくてはだめだ」と語った。また、枝野幸男幹事長代理は29日夜、都内で記者団に対し「(会談拒否について)普通であれば会って話すということを否定するというのは、理解しがたい」と述べ、不快感を示した。
29日の日中外相の会談では、諸問題における両国の関係改善が期待されるような話し合いはなかった。同会談後、前原外相は記者団に対して説明した会談内容によると、尖閣諸島問題については、前原氏が「日本固有の領土だ」と主張したのに対し、楊氏は中国側の立場を強調。中国のレアアース(希土類)輸出停止問題に前原氏は懸念を表明し、楊氏は「交渉材料ではない」と述べたという。また、尖閣問題から延期されていた東シナ海ガス田条約締結交渉を日本側が要請したのに対し、中国側は「必要な環境を整えていきたい」と答えるに留まった。
ハノイ市内で10分の非公式会談
報道によると30日午前、菅直人首相と中国・温家宝首相はハノイ市内の会議場で約10分間、非公式で会談した。両首相は、日中の戦略的互恵関係を引き続き推進することを確認し、次回、ゆとりある会談をすることで一致した。