【大紀元日本11月8日】中国西南部の貴州省貴陽市で最近、約400人の公安、武装警察、城管(都市管理部門の役人)が出動し、警察局の宿舎に突入して移転を強行した。警察局宿舎の住民らと衝突したため、十数人の老人を含む住民に負傷者が出た。
ネット上の掲示板に投稿されたこの情報を、中国国内の一部メディアが報道。情報はまたたくまに広がり、大きな反響を呼んだ。最近、警官が裁判所の前で横幕を広げて不正を訴え殴打される事件があったばかりで、警察局で働く者さえ襲われるという深刻化した社会対立が、再び注目されている。
報道によると、10月29日午後、約400人の城管、公安、武装警察が、市の雲岩区にある警察局の宿舎に突入した。レンチやハンマーなどを携えて、大型車で乗り込み、宿舎の塀を壊し、住民を強制的に戸外へ出そうとした。住民のうち、80歳を超えた老人が戸を開けることを拒んだため、道路に連行され負傷した。髪をつかまれて戸外に出された老人もいる。十数人の老人が殴られて病院に運ばれたという。
同宿舎は181戸を収容。定年退職した公安警察の幹部や幹部の遺族と子女、在職警察官とその家族の700人あまりが居住している。情報筋によると、同宿舎は不動産会社である貴陽城投が目をつけ、公益のために立て直すことを口実にして、移転の補償金額を市場売値の半分以下に削減した。また、補償金額を放棄し立て直した後の住居に住むことを選ぶ場合、増えた面積分を購入しなければならない。多くの定年退職した警官らは追加費用を払えないため、ほとんどの人たちは移転に同意していない。
警察局内での対立が公にされた今回の事件について、ネットユーザーは「この社会は本当に狂っている」「穴の中の争いで、犬同士の噛み合いだ」と皮肉った。また、各地で起きている「城管」たちの暴行に怒りを抑えられないネットユーザーは、「城管は正規の軍隊より強い。彼らに国家、国境を守らせろ」「釣魚島(尖閣諸島)に城管を派遣すべき。果敢に義務を遂行することだろう」などと風刺した。
ワシントン在住で中国問題専門家の石藏山氏は「中共建政以来このようなことは周期的に起こってきた。まず階級の敵をたたき、後に己れの盟友、最後に身内を打ちのめすというパターンだ。五十年代は地主資本家をたたき、その後は知識人、そして文革で自分で自分をたたいた」とコメントした。強気の警察も、いったんその体制から離れれば、弱い立場の一市民となってしまうとも指摘した。
上海で家を追い出され長年陳情を続けている蔡文君さんは、今起こっている現象は体制の問題だとし、「体制が変わらなければ今後も集団による抗争事件は多く起こるだろう。万博の開催、インフレの高騰、国民の財産の没収と、政府はすでに狂気の極みにある。狂えば狂うほど、残された日が多くないことが明らかになる。上海で起こった警官を襲撃した楊佳事件のようなことが、ますます多発するだろう」と話した。