【大紀元日本11月10日】オバマ大統領は、インドが国連安全保障理事会(安保理)の常任理事国になることを後押しする立場を表明した。具体的な措置ではなく、外交上のジェスチャーとして受け止められている。
インドは、インドネシア、日本、韓国を含む、オバマ大統領アジア諸国歴訪の最初の訪問地にあたる。
インド国会での演説の中で、テロ対策、気候変動、核不拡散などのグローバルな安全問題に取り組む上で、インドは米国のパートナーになりうると次のように語った。
「米国が求める公平で持続可能な世界秩序には、効率よく、効果的で、信頼性と合法性を備えた国際連合が含まれます。このためにも、将来を見据えた上で、今日、改革された国連安保理が、インドを常任理事国とすることを心待ちにしています」
安保理の改革案に関しては、現在交渉中。あと数年かかる可能性もある。インドが常任理事国入りするには、 拒否権を有する 米・英・仏・露・中の常任国の支持が必要だ。
国連安保理の現行の体制は、1946年の第一回の議会以来、変更されておらず、現状を反映していないとして、ほぼ20年にわたり、改革案が国連総会で討議されている。日本、ブラジル、インド、アフリカ連合などが、長年にわたり常任理事国入りを求めてきた。
パキスタンの反応
オバマ大統領の発言に対して、パキスタンの高官は「安保理の改革プロセスが複雑になる」とコメントしている。
「パキスタンとしては、米国が…道徳的な立場を維持し、権力政治の便宜や急場しのぎで行動しないように望む」と同国の外務省は声明を出している。
この懸念の例として、「インドの隣国関係に対する行動や、ジャンムー・カシミール州に関して安保理決議を侵害する目に余る行為を続けている」ことを挙げている。インドの北部に位置するジャンムー・カシミール州の国境線は、中国、インド、パキスタンの間で紛糾しており「インド占領下のカシミール」とも呼ばれている。
オバマ大統領は、パキスタンについて、2008年に少なくとも166名が死亡したムンバイ市の同時テロ事件に言及し、「国境間にテロの避難場所があることは受け入れられない。テロ実行犯が公正に裁かれるよう、パキスタンのリーダーたちに今後も主張し続けていく」と語った。
また「両国間の緊張を緩和することは、インドにとってもパキスタンにとっても有益だと確信している」とも大統領は加えた。
インドは、 2011年1月1日付けで任期2年の非常任理事国として 国連安保理に加入する。ホワイトハウスのホームページには「インドが 国連安保理に参加することを歓迎 する」というオバマ大統領の言葉が掲載されている。