【大紀元日本11月13日】中国国家統計局は11月11日、10月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比4.4%の上昇になったと発表した。上昇幅が4%を突破したのは2年ぶりだ。
同局のスポークスマン盛来運氏は記者会見で、食品価格および居住関係価格の急上昇が10月のCPIを押し上げた主な要因であると述べた。盛氏によると、10月の食品価格は前月比10.1%上昇し、「食品価格の中で、野菜価格は前年同月比31%、果物価格は同17.7%上昇した」と話した。また、同氏は食品価格急騰の原因について、国内の過剰な流動性など以外に、海外農産物の価格、および(大豆、トウモロコシなど)国際商品市場における価格上昇がもたらす影響と天候不順が主な要因であると言及した。
止まらない農産物価格上昇
中国国家発展改革委員会(発改委)は11月2日、北京、上海、重慶など36の大中都市において、野菜、肉、果物、食用油などを含む31項目の商品を対象に行った価格調査結果を発表した。同調査によると、31項目の商品のうち24項目の価格が9月に比べて上昇したという。中でも、きゅうり、トマト、チンゲン菜など主要野菜15項目の平均小売価格は、9月と比べて10.1%と大幅に上昇した。また10月の大豆食用油、調合食用油、菜種油などの小売価格は9月に比べ、平均3%上昇した。
国内報道によると、今年の中国西南部における天候不順のため、サトウキビの生産量が急減。中国砂糖業協会が発表した統計では、11月初めの砂糖の全国販売価格は1トンあたり7500元となり、2008年の1トンあたり2600元と比べて200%の急騰となった。一方、国内綿花市場価格の変動を示す中国綿花価格指数は、今年初めは1トンあたり1万5000元だったが、11月8日の時点で1トンあたり2万8891元を記録し、急騰した。
11月4日付香港紙「文匯報」によると、国務院発展研究センター研究員の陳国強氏は「年初めからコメ価格の上昇により、中国農産物の価格は過去の「まれに変動する」から持続的な上昇に変わり、今後、中国農産物の価格は持続的な上昇基調に入るだろう」と、国内食品価格の上昇が長期間続くとの見解を示した。また、陳氏は「大豆、トウモロコシなどの価格上昇により、家畜、家禽の飼料の価格も上昇することが予測され、豚などの畜産品の価格も年末に向けて上昇するだろう」と述べた。
中国農業問題専門家の姚監復氏はガソリンと軽油価格の上昇も、農産品価格を押し上げた原因の一つだと指摘した。同氏は「制御のきかない物価上昇が今後さらに続いたら、低所得者の政府への不満が高まり、社会不安の一因となるだろう」との懸念を示した。
一方、中国人民銀行(中央銀行)は10日、金融機関から預かる資金の比率を示す預金準備率を0.5%引き上げ、16日から実施すると、同行のウェブサイトで発表した。今年に入って5回目の引き上げで、国内のインフレに対する圧力や現在の金融市場における過剰流動性に対する警戒感への対策とみられる。
人民銀行は10月20日、政策金利である貸出金利を0.25%引き上げたばかりで、10月CPI上昇幅の拡大で、エコノミストの間では、年末までに中国政府が追加利上げを実施する公算が大きいとの観測が広まった。
在米経済学者の程暁農氏は「中国人民銀行は今後追加利上げを実施するだろう。しかし、利上げの幅が小さければ、物価の上昇幅をある程度縮小することができるが、インフレ圧力の拡大は抑制できない」と話した。
11月5日付「網易財経」によると、国内独立経済評論家の謝国忠氏は、深刻化するインフレを解決するために、中国人民銀行は政策金利を、まず年内に1%、さらに来年に2%と大幅に引き上げなければならないと主張した。
しかし、インフレ抑制のために金融引締め政策を実施することで、中国の金利は高くなり、また米国連邦準備制度理事会(FRB、中央銀行)が今月初めに実施した6000億ドル規模の量的緩和政策第2弾では今後中国市場に流入する投機資金の急増が予測される。さらに国内ではマネーサプライも増え続けているため、今後中国における過剰流動性問題がさらに深刻化し、人民元に対する上昇圧力も一段と強くなる。中国政府は難しい局面に直面している。
野菜価格急上昇の対応策として、一部の都市住民は自宅のベランダで野菜を栽培し始めた。山西省や山東省では食品などの買いだめ族が現れた。年寄りだけでなく、20代の新婚夫婦も買いだめの行列に並んだ。
「盲目的な買いだめに走るべきでない。現在食用油などの生活日用品の価格上昇は、突発事件や重大事件を起因とするものではなく、市場の正常な需給によって生じたものであり、今後、価格の変動はしばらく持続するが、大幅な上昇はなく、理性を持って消費すべきだ」と国内の専門家が呼びかけた。しかし、この呼びかけに対して、国民の多くは「問題がなければ、呼びかける必要がないだろう」と皮肉った。今後、国民による食品の買いだめがさらに広がりそうだ。