【大紀元日本12月9日】7日に発表された中国社会科学院の「2011年経済青書」によると、不動産価格の高騰が続く中、中国都市部の世帯所得に対する住宅取得価格比は8.76倍にも達し、85%の世帯は住宅を購入する能力がない。在米の中国人経済学者・何清漣氏は、住宅価格の高騰が続く原因は政府が土地の手綱を握っていることにあると指摘した。
同青書によれば、今年1~8月のマンション販売価格は1㎡平均5520元(約6万9千円)で、前年同期比15%増となった。一方、都市部住民の可処分所得は今年上半期9757元(約12万3千円)で、前年同期比10.2%増。価格変動を除いた実質成長率は7.5%となるが、不動産価格の上昇率に追いつかない。
また、青書では、3人家族で計算する場合、住宅価格は世帯平均年収の8.76倍になると示されているが、北京や上海などの大都市ではその比は20倍以上にのぼると国内メディア・東方ネットは指摘している。特に所得格差が激しい中国では、大半を占める低・中所得層にとっては、住宅購入はまさに「高嶺の花」。青書では、85%の世帯は都市部で住宅を購入する能力がないという実態が浮き彫りとなった。
不動産価格の高騰が続く原因について、経済学者・何清漣氏は本紙の取材に対し、政府がすべての土地を牛耳っていることにあるとコメントした。政府、特に地方政府にとって、土地をデベロッパーに譲渡して得た収入は重要な財源となるので、抑制策を打ち出しても、この根本的な関係が変わらない限り、小手先の技に過ぎないと指摘した。
何氏はさらに、中国では不動産開発・販売のすべての過程に政府がかかわっていると解説した。政府が制定した土地・不動産政策のもとで、デベロッパーが政府の運営する銀行から政府が決めた利率で融資を受け、一部の権益階層をメインのターゲットに不動産開発を行うのが実態だという。ほとんどの国の不動産業は国民のニーズに基づくのに対し、中国では85%の庶民はすでに対象外とされていると何氏は批判した。
「政府がこれらの過程から手を引けば、中国の不動産業は正常な軌道に乗るに違いない。今の多くの問題点の根底には政府の操作が影響している」と何氏は指摘した。