【大紀元日本12月12日】中国国営メディア「環球時報」が、フィリピンと中国が兵たん分野の軍用品の売買で調印したと報じている。これまで、中国からフィリピンへの軍事支援は建設機器に限られており、今回の調印は両国初の軍事協力協定となる。11月の総額は約1.72億ペソ(約3.3億円)に達している。
12月8日付AFPの報道によると、フィリピンのリカルド・デービッド参謀長は7日、国内の治安維持強化に必要な軍備品の取引のため中国・北京を訪れた。出発前の6日、「中国人民軍と国防省高官と会談し、実務的な業務に関して合意する」とスポークスマンが発表している。
中国から軍事資金を受けてきたとみられている毛思想・左翼革命派「新人民軍(NPA)」との関係については、「中国共産党と新人民軍とのつながりは、もはや存在しない」とし、中国の支援はフィリピン政府軍の強化のみに集中されるとスポークスマンは表明した。
一方、機密情報を告発するサイト「ウィキリークス」が12月4日に公開した公電によると、フィリピンを米国との同盟関係から離れさせるために、中国がフィリピンに経済的なプレッシャーをかける可能性があり、それは、アジア太平洋地域における日本の軍事勢力の抑制を支援するもくろみである、と米国が警戒し懸念を示している。米クラーク・ランド北京駐在大使が2009年1月、米中関係30周年の際に発信した機密公電の内容だった。
「日本のミサイル防衛への参加、米国の今後のハイテク軍事技術などを中国が脅威と認識することで、中国の未来のリーダーによる現状査定に変化がもたらされている。中国政府は今後、タイやフィリピンなど米国との同盟国に経済的な圧力をかけ、中国か米国かの選択を迫るかもしれない」 とランド氏は伝えている。
フィリピンの軍備は東アジアで最も脆弱で、左翼革命派やイスラム教の反抗勢力に対して、長期にわたる戦いを続けてきた。ほとんどの軍備品は、米国から支給された中古品で、新たな軍備が早急に求められているところだった。
12月7日付のBBCは、フィリピン軍が中国製の軍備を使って、新人民軍(NPA)を押さえ込むことになる皮肉を指摘している。
フィリピン上院議長「アメリカより中国を選ぶ可能性」
12月8日、ウィキリークスで明かされた米国の見識について、フィリピンのホアン・ポンセ・エンリレ上院議長は、フィリピンが二者択一を迫られた場合、隣国であるアジアの大国・中国を選択する可能性を示唆した。「中国は、世界政治において非常に影響力のある地位に到達するだろう。その時点で我々は中国を選ぶかもしれない」とフィリピンのTV局、GMANews.TVのインタビューで発言している。
東アジア経済圏の中国主導にも言及し、「世界は変転している。経済的共同体が世界中で生まれており、すでにEUブロック、米ブロックなど数ブロックに分けられる。ASEAN(東南アジア諸国連合)と中国は一体となってブロックを形成する」と述べた。