新彊・知的障害者の奴隷労働 背後に政府運営の「救済基地」

2010/12/21 更新: 2010/12/21

【大紀元日本12月21日】新疆ウイグル自治区のある建材工場で、知的障害者が劣悪な環境下、無給で奴隷のように働かされていることがこのほど明らかになった。一方、鳳凰週刊の袁凌記者は19日にミニブログで公表したスクープ記事によると、これらの知的障害者を派遣する四川省渠県にあるホームレス施設の背後に、地元政府が運営する「救済基地」が存在することが浮き彫りにされた。

『政府の救済基地、それとも奴隷労働の地獄』と題する記事の冒頭で、袁凌記者は次のように綴っている:

「政府が救済施設として設立・経営するこの苛酷な労働基地では、今でも、各地からホームレスや知的障害者が連れ込まれ、強制労働を強いられている。他所にも派遣している…ハンセン病院を改造したこの奴隷労働基地は、設立された時点から他所に労働者を派遣し、奴隷のように酷使している。近くは地元の各村の建材工場や建設現場などで、遠方に至っては新彊にもおよぶ」「断崖に囲まれて逃げる道がないこの基地で、殴られ、餓死や病死する者が後を絶たない。死亡者数は数えきれない。2歳にも満たない孤児も死亡者の中には含まれていた」

新彊に知的障害者を派遣

問題の建材工場は、新疆ウイグル自治区のトクスン県庫米什鎮の国道から247キロ離れた場所にある。知的障害者は過酷な労働環境で長時間の重労働を強いられている上、犬と同じ飯を食べている。二年間、一度も入浴していない者もいる。その給料の全額は派遣元のホームレス施設に支払われ、一銭も彼らの手には渡らない。 

地元紙「新疆都市報道」の13日の報道によると、彼らは暴力・リンチを日常的に受けるほか、行動の自由も剥奪されている。逃走を図る労働者もいるが、工場側に捕まれば酷い拷問に遭い、鉄の鎖の錠をかけられてしまう。

見かねた周辺住民が通報して、現地メディアが調査した結果、これらの奴隷工の悲惨な状況が初めて明るみになった。

調査の結果によると、彼らは、四川省渠県のあるホームレス施設が同建材工場に派遣した労働者である。一人につき、同工場は施設側に9000元(約11万円)の前金を支払い、月給の300元(約3800円)も全額この施設に振り込まれ、奴隷工たちには一銭も入らない。

同施設は2007年に障害者を働かせて暴利を得ていたほか、リンチで一人の障害者を死なせていたとの情報もインターネット上で出されている。しかし、その直後の2008年9月に、同施設は上記の建材工場と労働契約を結び、知的障害者を派遣した。

現在、施設を経営する曾令全・容疑者の身柄は拘束されている。調べによると、同容疑者は慈善活動家として地元の新聞にも取り上げられたことのある有名人だった。

政府が運営する奴隷労働基地

一方、中国誌「鳳凰週刊」の袁凌記者が四川省渠県に入り、現地調査した結果、政府が運営する「渠県救助センター太平寨基地」は、上記のホームレス施設を運営する曾令全・容疑者との間で労働者派遣や使用の契約を結んでいることが明らかになった。

同記者の報道によると、ホームレス救済基地と名乗るこの施設は断崖に囲まれ、外部とのアクセスが隔離された環境にある。元はハンセン病院であったが、その後労働収容所に改造された。労働収容制度が廃止された後、政府は救済センターの名で、各地からホームレスや知的障害者をここに連れて込み、敷地内で強制労働させていた。その後さらに他所にこれらの奴隷労働を派遣して金儲けをし始めた。

数階建てのビルの中で、奴隷工たちは地下室に寝泊りしている。「コンクリートの地面に草を敷いたものが寝床。ボロボロで薄いせんべい布団は寄付されたもの」と同記事で報じている。

食事はもっぱらサツマイモと野菜のお粥。米はほとんど口に入らない。肉類の食事も年に数回しか支給されない。飢えに耐えられない奴隷工たちは、派遣先の農家でよく食物を盗んで食べていたという。

同記事によると、同施設には高い外塀があり、ガラスの破片が塀にたくさん埋め込まれているが、逃走を図る者は後を絶たない。取材に応じたある現地村民は、2005年のある夜、施設から逃走した一人を助け、懐中電灯と食事を与えたと証言した。結局、この奴隷工は逃走に成功したという。

逃走が失敗して連れ戻されれば、過酷なリンチに遭う。

現地村民は実際に現場を目撃した現地村民の証言も同報道は言及している。一人の逃走者が吊るし上げられて拷問を受けた後、崖から突き落とされて死亡した。同施設はその遺体を回収して密葬したが、義憤を覚えた村民らは遺体の埋葬場所を突き止めた。70歳代の村民が取材に応じて、遺体を掘り出した当時の状況を語っている。

(翻訳編集・叶子)
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