【大紀元日本12月21日】226年前に鋳造された貨幣「仙台通宝」※が、今月中旬に中国湖南省の湘江(しょうこう)で発見された。当時日本では4年間しか流通しなかった、この江戸時代の地方通貨が、なぜ中国の湖南省に現れたのかは不明だが、湘潭市文物管理処の担当者は、日中の通商歴史文化の角度からみて、研究に値するとの見解を示した。
湖南省地元紙の報道によると、湖南省湘潭市に住む古代貨幣収蔵家・黄氏は、今月中旬、湘江で河川から廃棄クズ鉄を引き上げる作業をしていた時に、一枚の古銭を発見したという。角が丸くなっている四角形のコインで真ん中の穴も同じく四角で、「仙台通宝」の字が浮き彫りにされている。黄氏が今まで収蔵している古代貨幣とは異なったもので、初めての日本の地名が付いている貨幣だったという。
黄氏から貨幣の由来調査を受けた湘潭市文物管理処の担当者・盛兆華氏は、「明治維新前の日本では、中国から文明を採り入れており、貨幣の鋳造もその一つ」とし、「仙台通宝は、天明4年(1784年)に初めて鋳造されたもので、鉄の成分が高く、なで肩の四角形なので、撫角銭とも呼ばれた」と解説してくれた。明・清時代の湘潭梅洲地区はかつて商業が盛んだったが、当時の中国は鎖国状態になっており、日本と商業取引があった可能性は極めて薄いことから、仙台通宝が湘潭楊梅洲辺りの河川に現れたことは驚きだったという。
盛氏は、日中戦争の際、日本軍が持って来たか、他の人が何らかの理由で湘潭市まで持参して湘江に落したと可能性があると推測している。いずれにせよ、日中の商業文化において研究する価値があると盛氏は語った。
※仙台通宝
天明の飢饉(1783~84年)の際、財政難に陥った仙台藩が、幕府の許可の下で5年間の期限付きで、独自の地方貨幣として作ったもの。大量発行で経済が混乱したため、僅か4年で鋳造は打ち切られた。