【大紀元日本12月27日】中国の貧困人口は貧困基準の引き上げのため、今年政府が発表した4000万人から、来年は1億人になると見られている。また深刻なインフレの影響で貧困層は更に拡大する可能性があるという。中国紙「21世紀経済報道」が報じた。
貧困基準の引き上げは来年実施される新5カ年計画に含まれている。同紙によると現在、中国国内で貧困を示す基準は2008年に定められた年純収入(収入から要した費用を差し引いた残りの収入)1196元(約1万4000円)だが、新基準では1500元(約1万8000円)に引き上げられることから、過去2年間に比べて貧困基準は25%も上がることとなる。
新基準の適用により、貧困者の多い貴州省、雲南省、甘粛省など西部地区を中心に大幅な貧困人口の増加が予測されている。2009年の政府の発表によると、西部地区の貧困人口は全国貧困人口の66%を占めていた。貴州省の場合、2000年の貧困人口は890万人だったが、2010年には505万人に減少した。しかし5カ年計画の実行によって、来年は2倍の1000万人に上昇すると推測されている。
12月21日に開催された全国貧困支援会議では、今年頻発した自然災害の影響もあって、今後10年間、貧困へ逆戻りする可能性があると指摘されている。
新しい貧困基準は国際基準よりはるかに低いと統計専門家が指摘している。政府は2010年度の貧困人口は4000万人と発表しているが、国連の定める貧困基準(1日当たり収入1.25ドル)では中国の貧困人口は1億5000万人となる。また中国の一人当たりのGDPはインドの3倍以上であるのに対し、貧困基準はインドよりも低い。
「21世紀経済報道」の記事に、中国のネットユーザーは敏感に反応している。「物価が2倍になっているのに、貧困の新基準は25%しか上がっていない」など、政府の統計に疑問を抱く声も少なくない。
全国物価水準のおよそ平均に値する湖北省武漢市に住むあるネットユーザーは、中国の貧困人口は5億人と推計した。新基準の年純収入1500元で計算すれば、武漢市で生活するならば少なくとも毎月の収入は1485元以上必要であり、この基準で計算すれば中国では少なくとも5億人の貧困層が存在するはずだと推計している。
中国政府は、30年以上の急速な発展の中で国民の生活の質も改善され、貧困人口も大幅に減少したと自負しているが、専門家は、国民の働きが中国経済の発展につながったが、彼らが作り上げた富は自らの所に還元するよりも、権力層の利益になっていることに不満が高まっていると分析した。