【大紀元日本12月30日】中国社会科学院は26日、北京で「国際情勢黄書」(白書に相当)を発表した。それによれば、2010年の中国視点の国際情勢は、「G20はG8に取って代わり、米国はアジアに回帰し、国際情勢が多極化した」という。2011年度の情勢動向は、「中国の国際的な影響力の上昇により米国との衝突及び協力関係が同時にピークを迎え、特に軍事力の増強で米国との衝突は避けられない」と同書には記されている。
同白書は、G20の地位の上昇で、国際情勢が多極化したと指摘する。アフガン戦争、イラク戦争、そして金融危機の影響で米国の実力が下降し、さらに財政赤字を抱える西側先進国の影響力が低下。一方、G20に参加した新興国は金融危機、気候変動、テロ問題対策に積極的に参加し、大きな力を発揮した、と言及。「特に中国は積極的に国際経済ルールの制定や気候変動の話し合いに参加し、国際舞台での発言力は高まった」と活動内容を自負している。
海洋利益を狙う新たな中国軍事戦略の中で、米国との関係は緊張が高まっていると同書は指摘する。「近年、軍事力の増強により、自国の利益、特に海洋利益を守る決心を徐々に現してきたため、米国との衝突は避けられない」「中国の新たな軍事戦力に対して、米海軍は抑制しようとしている。2010年、中米は安保上での不信感が互いに深まっており、それぞれ同盟国との軍事演習などの形式を採り、対抗する動きを見せた」という。
米国との衝突の代表例として、南シナ海問題における外交上の対抗を取り上げている。同書の中で中国は、「南シナ海の領土問題を関係国との間で解決を図りたい」との望みを表明しているのに対して、「長年、同領海については傍観してきた米国は最近、問題を国際化しようとしている」と指摘する。「中国の台頭に焦りと恐怖を感じた米国の狙いは、アジア近隣国を利用して北京にダメージを与えようとしている」と、米国を敵視する姿勢を隠さない。
外交については、GDPが世界2位に成長したことをあげ、米中関係だけでなく、周辺国との関係にも影響を与えたとしている。「一部の国は中国の発展に脅威を感じ、中国の正当な訴えに対しても消極的に反応している」と述べ、自国の主張の正当性を強調し、領土問題をめぐって日本をはじめとする周辺国の対応を批判した。
さらに、周辺国の動きから、「中国を抑制しようとする意図が顕著に現われている」とし、米国は再びアジアに回帰し、中国包囲網を作り上げようとしているという。一方、中国を抑制しても包囲しても、「中国と全面対決にならない」としている。「共同利益」のために、「周辺国は中国との関係がこじれたら、正常化に戻るよう努力している」と周辺国が経済的利潤を目的に中国に歩み寄ってくると予測している。