【大紀元日本12月30日】12月25日に浙江省温州市の農村部で土地の強制収用を長年告発し続けてきた村幹部がトラックの下敷きとなって死亡した事件について、警察当局は「交通事故」と見て捜査を進めているが、ネットを中心に「死には不審な点がある」と、村幹部の死の背景について議論が交わされている。「事故」なのか、それとも「事件」なのか。ネット掲示板の関連話題へのアクセスは400万、書き込みは20万を超え、政府も世論を配慮し、事件の調査に乗り出すと表明した。
死亡したのは、浙江省楽清市蒲岐鎮寨橋村の元村長、銭雲会さん(53)。2004年4月に同村の146ヘクタールの農業用地が無償で強制収用されて以来、銭さんは住民らを率いて陳情し続けている。その間、三回逮捕され求刑されたという。今年釈放された銭さんは引き続き、インターネットで不正な土地収用を告発し続けていた。
事故後、現地紙「温州日報」が、「市の指導者は事故を大変重視している」と報じたのを受け、市民から「ただの交通事故なら、なぜ市の指導者まで関心を払っているのか」と事故を疑問視する声が上がった。
事故現場の写真がネット上に掲載されたのち、ネットユーザーは「事故車は逆走している」「首と肩だけ引かれている。しかも車輪と垂直した姿勢で倒れている」「防犯カメラは事故前に撤去された」「ブレーキを掛けた痕跡はない」「事故後、五分も経たないうちに容疑者は連行された。あまりにも速く、警察が待機しているとしか思えない」などさまざまな疑問点を挙げ、銭さんの死因は交通事故ではなく、殺されたのでは、との声が強くなっている。
ほかにも、「銭さんは呼び出されて外出した」「5人によって無理やり車輪の下に押し込まれた」などの目撃証言も出ている。
近年、土地収用問題をめぐるトラブルが続発し、2006年だけで300件に上った。2004年にも強制収用に陳情した陝西省の農民らが政府の武力弾圧に遭い、50数人が負傷する事件に発展した。