【大紀元日本1月15日】タジキスタン議会は12日、同国東部パミール高原の約1000平方キロメートルを中国に割譲すると議決した。約130年間続いた領土紛争はこれで決着がついた形となったが、中国がもともと返還を求めていた領土は2万8500平方キロメートルで、その3.57%の「返還」について、中国国内では、今回の国境画定の交渉は「惨めな外交勝利」と、批判の声が続出している。
グーグルで「タジキスタン」「領土」などのキーワードを中国語で検索すると、中国のポータルサイトに掲載された関連記事のタイトルと「タジキスタンがわが国の領土1000平方キロメートルを返還」との記事要約が多く登場するが、ほとんどの記事はすでに削除され、ページは開けられなくなっている。
中国にとって喜ばしいはずの「領土返還」ニュースは、華々しく扱われたのもつかの間、当局により封鎖された。この姿勢の転換は、「返還」された1000平方キロが、当初求めていた2万8500平方キロのごく一部に過ぎず、問題となるほとんどの領土は失われた、という見方がネットユーザーの間で広がったためだとみられている。
「言い換えれば2万7500平方キロは放棄したということか」「当局はまた『外交の勝利』だと宣言し、『愛国主義』教育の好材料にする気か」「一袋のあめ玉をほしがっているのに一粒もらえたら、『どうだ、わが国の政府は頼りになるだろう』と言わんばかりの姿勢で国民からの擁護を求め、政府への求心力を高めようとする狙いが窺える」と冷ややかな批判が飛び交う。
タジキスタンでは野党が領土割譲に反発しているが、ハムラーファン・ザリフィ外相は、交渉により2万8500平方キロを1000平方キロに縮小できたのはタジキスタン側の「外交上の勝利」だと発言している。
一方、協定の可決に絡んでいるのは「中国マネー」との見方もあり、中国の中央アジア支配を警戒する声も上がっている。
問題となっている領土について、中国は19世紀後半に帝政ロシアの侵略を受けた際に分割されたと主張し、尖閣諸島(釣魚島)と同様に「中国固有の領土」との立場をとっていた。