【大紀元日本1月28日】鳴り物入りで米国で公開された中国の国家イメージCMは予期せぬ不評を招いた。登場人物は地位、名声、富のすべてを手に入れた時代の寵児とも言うべき人たちだった。しかし、社会の底辺には、土地を失った農民、給料の未払いに遭った出稼ぎ労働者、汚染された環境での生活を余儀なくされた人々で、絶望感さえ漂う。発展という大義名分で政府に見捨てられた彼らこそ中国の真実。こんな声を反映させるべく、民間版国家イメージCMがインターネットで募集され、話題となった。
香港紙・アップルデイリーによると、これまで数々の社会問題を取材してきた中国経済時報の王克勤記者は、民間版国家イメージの写真を募集する活動を発起し、たくさんの投稿があったという。いずれも近年メディアやインターネットで掲載された写真の数々。
米紙・ウォールストリートジャーナルも、北京でヨーグルトを販売する男性(45)を取材した記事を掲載し、「胡主席の声望を高めるために作られたこのCMは無駄だったようだ」と評した。
二回も商売に失敗したこの男性は今、街頭でヨーグルトを販売しており、妻は会社員だという。男性は次のように語った。
「中国の発展は世界を脅かしていると言われていますが、中国はまだそこまで強くないと思います。皆さんが見たのは中国の一面だけです。貧しい人や地域はまだたくさんあります」
「私は、ほとんどの中国人と同じように、GDPが日本を追い抜いたとか、胡錦濤主席が訪米したとか、そんな話にはまったく関心がありません。いつか小さな店をオープンさせたい、それが今の私の夢です」
「私の子供がアメリカの国籍を取っても、アメリカに永住しても、まったく気にしません」
ウォールストリートジャーナルは「巷にいる一般市民の声とCMのアピールとの間に、大きな差があった」と指摘した。
民間版国家イメージCM
2010年4月、江蘇省溧陽市の化学工業団地からの排ガス・排水で、周辺の農作物の栽培と住民の健康が損なわれたとして、住民は工業団地の前でひざまずいて政府に解決を求めた。
バスの中で幼い子を抱いて立っているお母さん。見て見ぬ振りをする人たち、寝ている振りをする人・・・誰も席を譲ろうとしない。
1月9日、広州の出稼ぎ労働者は給料の不払いに遭い、現在上映中の話題の映画『譲子弾飛』(銃弾を飛ばせ)のタイトルをもじって「銃弾を飛ばせ、物価を飛ばせ、給料を飛ばさないで」と書いた横断幕を掲げた。
2007年5月に西北部寧夏回族自治区の銀川市で撮影された写真。政府職員が露天商を取り締まる際、店主の女性と衝突した。その息子はお母さんを助けようと、職員にレンガを投げ、連行された。強い怨念を抱く少年の目に、人々は深い悲しみを覚える。
近年、インターネットで話題となった一枚。社会の格差の拡大を如実に表している。おんぶされている子と靴を磨いてもらった子、成人後の2人はこの社会でどのように共生するのだろうか。
背負いきれないほどの薪、枯れ草のようにぼさぼさとした白髪。杖を付くこの老婦人の姿は、多くの人の涙を誘った。