【大紀元日本2月22日】中国のネット検閲システム、グレート・ファイアウォール(GFW)の開発を指揮した方濱興・北京郵電大学長がこのほど国内紙の取材に対し、中国のネット封鎖はまだ威力が足りないと述べ、今後突破を完全にブロックできるよう、さらなる「ウォールの構築」が必要だと語った。
取材は18日付の中国政府系紙・環球時報の英語版に掲載された。方氏は取材で、現在、アクセスブロック技術と封鎖突破ツールの間で激しい戦いが生じていると認め、この戦いを制しているのはどちらなのかを検証するために、自ら6つのVPN(バーチャル・プライベート・ネットワーク)を運用していることを明らかにした。
その結果、VPNを利用することで、GFWを乗り越え、政府がブロックしているウェブサイトにアクセスすることが可能だと判明し、「GFWはいま先を越されている。強化を図らなければならない」と同氏は発言している。
中国ではいま4.5億人いるネットユーザーが、GFWの封鎖により、フェイスブックやツイッター、ユーチューブなどにアクセスできない。また、国内ニュースサイトやブログ、書き込みなどに対して厳重な検閲システムが設けられており、当局にとって敏感な話題や不利な情報があった場合、即座に削除やブロックがかかるという。
この厳重なシステムについて、方氏は、「ファイアウォールは交通管理の機能を果たしている」と語り、「運転手はルールを守らなければならないし、ユーザーも規則を守って動かなければならない」と、他国もネット規制を課していることを引き合いに出し持論を主張した。これに対し、国内のネットユーザーは、海外の青少年保護のための規制などとは違い、中国のネット規制は「政府と異なる見解を示す情報がすべて封鎖対象になる」と猛反発している。
同氏が昨年12月にポータルサイト「新浪」でミニブログを開設した時も、数千のネットユーザーの罵声のなかで3時間で退散した経緯を持つ。当時の書き込みには「GFWはウェブを断ち切っている。残っているのは嘘だらけだ」「民族の罪人、中国の進歩を阻む『壁』」「法律の審判を受ける前に、ネットユーザーの訊問を受ける必要がある」「歴史の審判を受ける時、あなたを待っているのは分厚い審判書だ」「中国は世界でもっとも多くのネットユーザーを誇っているのに、世界は中国の声が聞こえない」と厳しく非難するメッセージが飛び交っていた。
GFWの封鎖を突破する「自由の門」
ラジオ・フランス・インターナショナル(RFI)の報道によると、GFWのネット封鎖を乗り越える中国のネットユーザーの7割が「自由の門」や「無境界サーフ」などといった検閲突破ソフトを利用している。一方、15日米上院が発表した報告書の中でも、この2つのソフトはネット封鎖を突破するのに「もっとも有効」だと評価している。
「自由の門」や「無境界サーフ」は、在米中国人による検閲突破ソフトウェア開発団体GIFC(グローバル・インターネット・フリーダム・コンソーシアム)が開発したもの。開発は当初、中国当局に迫害される国内法輪功学習者が当局に封鎖された迫害の情報を外部に伝えることを目的としていたが、検閲のない情報を求める中国の一般国民にもいま多く利用されている。
現在の国際情勢を睨んで中国当局の監視が日増しに強化される中、よりいっそう多くの中国人が「自由の門」や「無境界サーフ」などのソフトで検閲を突破し、自由な空間を享受しようとしている。「これでやっと自由な空気が吸える。これらのソフトがなければ、我々は政府が建てたグレート・ファイアウォールの中で窒息してしまう」と、1日百万人を超える利用者たちの中の1人はこう書き込む。
一方、中国のネットユーザーを自らが考案したグレート・ファイアウォールの中に封じ込めることを功績とし、そのウォールをさらに高く、さらに厚くしようとする方氏に対して、中国の有名ブロガー・安替さんは、「彼の認識は封鎖自体よりも不気味だ」と一蹴した。