【大紀元日本2月26日】北京市内の小学校で3月から10月まで、従来の週1回の国旗に敬礼する式典に加え、月に1回中国共産党の旗に敬礼する式典を行うことになった。中国では最近「愛共産党」教育・宣伝が強化されており、専門家は、これらの動きは、国際情勢を睨んだ政権維持の一環だと分析する。
党旗に敬礼する式典は北京市共産主義青年団の委員会が決定したもので、国内紙・京華時報は、同委員会の責任者の談話として、次のように報道した。「今年は共産党設立90周年の節目。小学生の共産党、共産主義青年団、少年先鋒隊への認識と愛情を強化するために、この式典を考案した」
今回の8カ月にわたるキャンペーンは、毎週月曜日の国旗上昇式に加え、毎月最初の月曜日に中国共産党の旗、共産主義青年団の旗、少年先鋒隊の旗にも敬礼するよう決められている。なお、共産主義青年団、少年先鋒隊はそれぞれ、未成年の中国人が加入する中国共産党の関連組織である。
深セン市在住の評論家・朱建国氏はラジオ自由アジア(RFA)の取材に対し、この式典の決定で、今月19日に人民日報に掲載された記事を思い起こしたと話している。同記事は、毛沢東の委託を受けて毛の死後、政権を掌握した華国鋒・元主席の生誕90周年を記念する内容だった。1981年に失脚してからほとんどメディアの脚光を浴びたことのない人物をこの時点で大々的に宣伝することや、共産党旗に敬礼するキャンペーンの実施から、党設立90周年の節目に、最高指導部は毛沢東時代に逆戻りさせようとしているのではないかと分析した。「国内ではいま対立が非常に激しく、貧富の格差はますます拡大している。最高指導部は毛沢東のやり方でこれらの対立を緩和・解決できると期待しているのではないか」と説明した。
また、浙江省在住の元ジャーナリストの昝愛宗氏は、このやり方は小学生たちに「共産党=中国、中国=共産党」との思想で洗脳するためと指摘した。しかし、「体制の腐敗がますます深刻になり、貧富の格差が拡大し続ける今の時代、国民は共産党に期待なんか抱いていない。どんなに洗脳教育のイデオロギー宣伝を行っても、だれも信じてくれなくなっている」と一蹴した。
昝愛宗氏は、中国当局は中東で広がる民主革命の影響を警戒し、自らの政権維持のために、さまざまな措置を講じていると指摘し、(この式典のような)「愛共産党」の教育強化もその一環だと分析した。
中国国営中央テレビ(CCTV)もプロパガンダ番組の放送を強化している。最近、ゴールデンタイムに共産党の功績を称えるドラマ「五星紅旗が風にたなびく」を放送し、「6億人が視聴した」とCCTVは謳っている。