【大紀元日本3月11日】香港高等裁判所は9日、2010年度世界ツアーで香港公演のために来訪を予定していた神韻芸術団技術スタッフの入国ビザを、公演直前に香港入国管理局が不許可とした件について、不許可決定は不当だとし撤回を命じる判決を下した。
ニューヨークを拠点とし、海外の中国人アーティストが加盟する「神韻芸術団」は、共産党政権に破壊された中国伝統文化の神髄を復興することを目指している。その世界ツアーの一環であり、初の中国大陸公演であった香港公演は、去年の1月27日から31日まで開催される予定だった。
香港入国管理局は舞台制作の主要スタッフ6人全員の入国ビザを許可しない、と公演直前に主催者に通告してきた。その結果、公演は中止を余儀なくされた。主催者の法輪大法佛学会によると、当時、数千枚のチケットはほぼ完売し、中国国内からも大量の予約が入っており、莫大な経済損失が生じた。同年4月、主催者は入管の同決定を不服として、香港高等裁判所に訴訟を起こした。今年1月下旬に法廷審理が行われ、3月9日、同高裁は上記の判決を下した。
今年1月24日、公演主催者は香港最高裁前で集会を開き、神韻芸術団公演への支持を訴えた(撮影・潘在殊/大紀元)
41ページの判決文の中で、張挙能・裁判官は本件のビザ審査で考慮すべき2つの重要な点を挙げた。一つは文化および芸術交流活動の社会への明確な貢献。もう一つは、本件の入国ビザ申請者はその他の一般の就労ビザと異なり、同香港公演の一部分と見なさなければならないこと。
ビザ不許可の理由について、入管は同舞台制作スタッフは特殊な技術・知識・経験を持っていないとし、香港現地でも手配できる、と説明していた。それについて、同判決によると、これらのことは入管が判断すべき要素ではなく、ビザ不許可の理由にするのは不適切だと結論付けた。
同判決は、同ビザの審査に際して、神韻公演の出演者、舞台制作スタッフは分断してはならないチームであることを必ず考慮しなければならないと記した。主催者が舞台制作スタッフの重要性を再三説明したが、入管は聞き入れなかった。判決文は入管のこの対応について容認できないと記した。
同判決文の法的説明の部分では、裁判官は「入管は大きな裁量権を有しているが、法律に準じなければならない(中略)。その決定は必ず公平でなければならず、主観かつ独断は禁物である」と述べた。
国際人権派弁護士・朱婉_qi_氏は、「香港入管は過去10年の間に、中国当局が歓迎しない民主活動家や政権異見者の入国・入境ビザを許可しなかったり、入国時に強制送還したりして、荒唐無稽な決定を多々下してきた。本案の法廷審理でも、中国当局の裏の圧力があった事実を隠ぺいして、虚偽な法廷陳述を行った」と指摘し、香港高裁の今回の判決は良識に基づき、司法の尊厳を守ったと評価した。
公演の主催者は判決を歓迎すると表明し、公演の直前中止による巨額の経済損失の補償を香港当局に求めていく意向を示した。主催者側スポークスマンの簡鴻章氏は、香港入管は本件から教訓を汲み取るべきだと述べ、「これからは、中国当局の圧力を排除し、神韻芸術団の香港公演に対して然るべき対応を取ってほしい」と促した。