【大紀元日本3月31日】東日本大震災の影響による日本製品の安定供給への不安や、福島第一原発の事故による放射線物質への不安が中国各地で広がり、震災前に製造した製品の値上がりや、品薄による価格見直しが各地メーカーや小売店で行われている。瀋陽市の地元紙・時代商報は30日、地震や原発事故が瀋陽市場の日本製品にもたらした影響についての調査報告をまとめた。
化粧品
「昨日はコーセーの雪肌精の化粧水と乳液、大きいボトル入り2つずつ買ったわ」。そう語る瀋陽市民の瀋雪芹さんは前から雪肌精を愛用していたが、放射線が化粧品の品質に影響を及ぼすことを心配し、一年間分を買いだめすることにした。「今のところ店頭は品切れしていないが、工場の操業がもし震災の影響を受けていたら、値上がりするかもしれない」という。
中国最大手ショッピングサイト淘宝網(タオバオ)の日本製品の購入代行を行うショップでは、2割の商品は地震の影響で受注を見合わせているという。一部の化粧品の品切れが生じており、値段も10%前後上がっている。市内のデパートでは日本製化粧品の販売量がこのほど大きく伸びているが、価格は現段階では安定している。しかし、同報告は業界筋の話として、来月にはコーセーを含む一部の日本製化粧品の市販価格が上昇すると伝えている。
粉ミルク
淘宝網では日本製粉ミルクの購入代行をするショップは800軒以上に上り、そのうちの一部はすでに在庫を切らしており、ほかのショップは大幅に値を上げて販売しているという。
明治乳業の850g入りの粉ミルクは通常218元(2762円)で販売していたものの、14日から235元に値上がりし、20日からは308元(3900円)で販売されるようになった。「それでも飛ぶように売れている」と代行業者は話す。
市内の赤ちゃん用品を扱う店舗でも明治の粉ミルクが売れに売れている。「多くのお母さんは買う前に『震災前の製品か』と確認している」と店員が時代商報の取材に答えた。
業界筋の話によれば、明治乳業の粉ミルク生産は主に北海道地区に集中しているため、生産と供給は地震による影響が少ない。「値上がりは、小売業者が価格の上昇を狙った売り惜しみによるものではないか」と同筋が時代商報に明かした。
食品
地震と原発事故のダブル被害を受けているのは多くの現地日本料理レストラン。地震による食材の供給不安に加え、放射能漏れがもたらした日本の食品への消費者の警戒感が、現地の日本料理レストランを直撃している。
広州日報の地元取材によると、日本の食品を扱うスーパーでは、「産地はすでに日本以外に移した」や「日本ブランド中国生産」、「原料は沖縄」などと、あの手この手で消費者の不安を払拭しようとしている。
デジタル一眼レフカメラ
時代商報の報告によると、デジタル一眼レフカメラの価格は今回の地震の影響を一番受けている。ニコンのD700は1万4000元(17万7千円)から1万5000元(19万円)に、D3Sは3万500元(38万7千円)から3万3500元(42万5千円)へと、3000元も値上がりしている。
「値上がりは品薄によるものだ。高性能デジカメはほとんどが日本原産なので、工場が操業停止すると、こちらも売る商品がなくなる」と撮影器材商が語った。デジタル一眼レフカメラの大手メーカー、ニコンとキャノンは今回の地震でそれぞれの部品工場が被災で操業停止に追い込まれているため、生産に遅れが出ている。
自動車
瀋陽市内にあるトヨタ自動車、レクサス販売店の王さんは時代商報に対し、「レクサスの価格は安定しているが、入荷遅れが出ている。一部の車種や色に欠品が生じている」と紹介した。
日産自動車が国外で展開している高級車インフィニティも同様な問題を抱えている。「価格が上昇する可能性はなくはない」と販売担当者が話したという。
一方、中国市場で販売されているほとんどの日本車は中国国内工場で生産しているため、地震の影響はほとんどないという。高級車市場でも日本からの輸入は1割に止まっているため、今回の地震による自動車市場への影響は少ないとみられる。
日本製品離れ
時代商報が先日行った他のアンケートでは、今後も日本製品を購入し続けるかとの質問に対し、「購入しない」が31%に上り、「購入する」の26%を上回った。購入しない1番の理由として、「放射能の影響が心配」と答えた人が44%に上った。