【大紀元日本4月26日】インフレで生活苦を訴えた上海の輸送業者らによるストライキは天津市、寧波市に飛び火したほか、同じ時期に貴州省、湖南省でもストライキが行われた。一方、上海当局は「ストライキではなく、利益を求めているだけだ」と警戒感をあらわにし、違法な徴収金の中止を発表するなど、事態の早期収束を図っている。
各地でストライキが頻発
米VOAによると、貴州省の国有企業もストライキを敢行した。「殲10」など中国の軍用航空機を手がけてきた同省内にある黎陽航空モーター会社は1960年代に設立された国有企業。最近、発表された企業改革案は、「幹部は昇給、従業員は減給」という不公平なものだ。不満を抱く従業員らは4月15日からストライキを実施した。
また、中国ジャスミン革命の発起人の公式サイトで、広東省佛山市のタクシー運転手は厳しい罰則の撤廃と過酷な労働条件の改善を求めて、4月19日にストライキを始めたと伝えた。
同サイトはまた、湖南省の軍需企業、永州躍進機械工場の従業員ら数千人が4月17日から、企業を私物化する幹部らに対する不満から、ストライキに踏み切ったと報じた。
政府当局「ストではない」
一方、国内メディアは一連のストライキについて沈黙を守っている。国営新華社通信は23日の英字紙で、上海政府が一部雑費の免除と違法な徴収金の中止を発表したと報じ、「上海港は正常に稼動している」とも伝えた。
米VOAによると、上海政府は参加者代表と面会し、改善措置を講じたと同時に、今回のストライキを「トラック運転手らが利益を求める訴え」と位置づけたという。VOAの電話取材に対し、上海政府のある幹部は「ストライキと言うと、事態を重くしてしまう恐れがある」と慎重な姿勢を示したという。
専門家「今後さらに増加」
これまで、各地で労使紛糾や強制土地収用への抗議活動が多発している。しかし、深刻化するインフレに不満を抱える国民の抗議活動は今後さらに広範囲に及ぶと専門家は見ている。各地への飛び火を懸念する当局はインターネットで関連情報を即座に削除している。
米国に本部を持つ中国労工観察の李強執行主任は、今回のストライキは政府に鎮圧されるだろうが、根本から問題を解決しないかぎり、今後ストライキがさらに頻発すると指摘した。「2011年はインフレ問題のほか、多くの市民運動活動家や民主運動活動家に対して高圧的な手段を講じている。政権維持のためだが、このままでは、さらに多くの抗議活動を誘発してしまう」と警鐘を鳴らした。