【大紀元日本4月29日】小雨が降りしきる中、50人の工場従業員が火炎瓶を傍らにゲート周辺と屋上で見張り、取壊しに来た政府関係者や作業員500人と対峙した。
この一幕は22日、北京市房山区青龍湖鎮にある「羅之星」の工場で起きた。政府に「違法建築」と指定された羅之星とその隣の「興華コンクリート」がこの日、取壊しの対象となった。
「朝6時に取壊し隊がやってきた。工場を取り囲み、人や車の出入りを禁止した」。興華コンクリートの所有者・趙建英さんは北京の地方紙・新京報にこう話した。午前中に興華コンクリートの取壊しを強行した作業隊は、次に羅之星を取り囲んだ。
羅之星の従業員は火炎瓶を用意し対抗態勢に入った。工場ゲートの両側に、ビール瓶で作られた火炎瓶がいくつか置かれ、女性従業員2人が立っていた。工場の屋上では多くの従業員が見張っており、寒さをしのぐために行ったり来たりしている。「われわれがここにいれば彼らは取壊し作業に入れない」 と北西の角に立つ陳さんは言った。
工場の外では、公安、都市管理(城管)、消防、警察、救急の各車両とブルドーザーが止まっている。作業員らは近くの営業停止のスーパーで待機しており、近くの3台の大型バスの中も作業員でぎっしり。今回出動した人数は500人あまりだと地元政府は話した。
双方の対峙は数時間続いた。午後2時頃、取壊し隊は解散し、公安、消防などが現場に残った。羅之星はその後停電、断水されている。
羅之星の責任者・高冠峰さんは、強制取壊しを行う場合、市・県レベルの政府機関が法的手続きを行い、裁判所からの正式な書類が必要だとし、その書類は届いていないと主張した。また、「村からの取壊し勧告以外、県や裁判所からの強制通知は来ていない」と高さんは続けた。
羅之星も興華コンクリートも地元政府が発行した「荒廃した土地の再利用」の承諾書を持っている。興華コンクリートの趙さんは、工場を稼働し始めてからすでに10数年が経ち、昨年9月に地元当局の要求に従い、汚染軽減のために工場をカラー鋼板仕様に建て直したばかりだと話し、突然の取壊しは理解できないという。
一方、地元当局は、両工場のカラー鋼板仕様は県以上の許可を取得しておらず、違法建築にあたると主張し、両工場が自主取壊し期間中に撤去しなかったため、今回強制取壊しに入ったと説明している。
羅之星と興華コンクリートは京石二通道高速道路沿いに位置し、土地収用地区の範囲に入る。今回の取壊しは、土地収用時に発生する費用を回避するために「違法建築」との口実で実行されたとの声もある。これに対して、当局は否定している。