【大紀元日本5月5日】5月1日のメーデーは、中国では国際労働節と呼ばれ重要視されている。そのメーデーにも関連して、近年の中国では労働時間が長くなり、過労によって働く人々の健康が脅かされていることが大きな話題となっている。広州の「南方日報」が行った調査によると、最近の中国のホワイトカラー層の労働時間は週50時間を上回っており、高収入を手に入れるために健康を代価としている実態があることを指摘している。
南方日報が行った調査は、会計士、ソフトウェアエンジニア、ソフトウェアアーキテクチャー、IT販売員、広告業界従業員、メディア関係者及び教師など、いわゆるホワイトカラーと呼ばれる職業を対象に実施したもの。中国の労動法では、労働者の労働時間を「一日8時間を超えず、週平均で44時間を超えない」と明確に定めているが、今回調査対象となった50人のうち、65%以上が週50時間を超えている。
職業別に見ると、90%近くの会計士、ソフトウェアアーキテクチャー、メディア従事者らは、一日に12時間以上をパソコンや端末操作に費やしているという。
また、中国医師協会、中国病院協会などの機関が共同発表した『2010年中国都市ホワイトカラー層健康白書』によると、76%のホワイトカラー層は健康な状態であるとは言えず、特に北京、上海などビジネスの第1線にある大都市では、ホワイトカラー層の約6割が過労状態であるという。
専門家らは、過労による影響は、従事者の体調不良や心理的負担だけでなく、24時間休みなく待機したり週末も出勤するという勤務時間の常態化によって、オフィスが「家」となり、人間の性格そのものが「職業化」してしまうなど、多方面に現れていると指摘している。
最近、大陸にある普華永道(訳注、世界的に有名な大手会計事務所。中国国内および香港とマカオに約5500人の従業員をもつ)に勤めていた女性従業員の潘潔さん(25歳)が、インフルエンザ感染による急性脳膜炎で死亡。彼女の死は、過労がその誘因と見なされた。この事件がきっかけとなって、ホワイトカラー層の健康に関する激しい議論が引き起こされた。
現在、中国では労働に関する社会保障の範疇に「過労死」が含まれていないため、相応の補償がなされていない。多くの「働きすぎる」労働者に対して、中国の現行の法律は助けにならないのである。
上海大学社会学部教授・顧駿氏は、都市部におけるホワイトカラー層が過労になる主な原因の一つとして、「高収入を求めること」を指摘している。
一方、多くのネットユーザーは、「就職が極めて困難であり、物価も暴騰している。彼らはしかたなく過労になったのだ」と、顧氏の指摘に反論している。