【大紀元日本5月7日】中国の企業の信用度が低い。こう指摘した国内紙・経済参考報によると、中国の企業間で交わされる年間40億件の契約のうち、実際に履行されるのは50%しかない。信用の問題による直接あるいは間接的な経済損失は年間6000億元(約7.5兆円)に達する。経済学者は、信用度の欠如は中国企業の治らない「疾患」である、と指摘する。
信用度の低い中国企業
経済参考報は関連機関の調査結果に基いて、次のデータを公表した。
2009年度では、代金の支払期限超過が60点xun_ネ上の企業は33%を占めており、2008年同期に比べて50%増である。売上代金が回収不能による貸倒損失は1~2%であり、年々増加する傾向にある。一方、安定する市場経済の国では、この数値は通常0.25~0.5%である。また、年間交わされる40億件の企業間契約の履行率は50%しかない。
中国商務部の統計データによれば、企業の信用問題による直接・間接の経済損失は6000億元(約7.5兆円)に達し、そのうち、品質不良、偽造品、契約詐欺による各種の損失は計2000億元(約2.5兆円)に上っている。
このような状況の中、企業は代金の後払いという取引方法を信頼していない。約33.3%の企業は「この状況は永遠に改善しない」と回答した。
長年、企業間の代金回収を代行する会社「中貿友施・信用管理(北京)有限公司」の李奎元社長は、中国で詐欺、偽造、契約不履行の事件が多発する理由について、中国では信用を守らせるための制度が不備である上、多くの企業は最低限のビジネス・道徳基準を持っていない、と指摘している。
在米中国経済評論家の草庵居士は本紙の取材で、中国企業の信用度が低い理由について、制度の不備、社会全体の道徳の低下、司法監督の不備という3つの要因を挙げた。これらはみな、当局の体制に大きく関連していると氏は指摘する。政府が嘘を言って国民を騙すため、社会全体も嘘を付くのが当たり前になり、信用を守らないのが普通だという状況に陥った。経済活動での現れとして、信用度の欠如は「企業の治らない疾患」となっていると分析した。
一方で、米サウスカロライナ大学の謝田教授は、中共幹部の汚職が現状をもたらしたと指摘する。「中国の多くの企業は当局または高官がバックになっている。この種の企業が違法行為をした場合、法的責任の追究ができない、あるいは法的責任を追究するコストが非常に高い。それに加えて、法律の監督・制裁体制が非常に不備であるため、正当なビジネス手段を取るよりも、多くの企業は高官に贈賄することでビジネス目的を達成したり、法的制裁を逃れたりしている。さらに多くの企業はそれを見習ってしまう。その結果、信用の価値は下がる一方で、社会全体が悪循環に陥っている」と謝教授は分析した。
中国企業の信用調査は困難
中国では、人民銀行のみが取引関係のある企業と個人の信用情報のデータバンクを構築している。しかし、外部には情報を提供しないという。また、企業が当局機関に開業登録する基本情報でさえも、入手するのは容易ではない。
中国商務部の「國際貿易経済合作研究院」信用管理部の韓家平・主任は、国内では企業の信用情報を収集・調査するのは非常に困難であると認める発言をした。
草庵居士によると、いま、米国では中国企業とのビジネスで騙されないように、そのノウハウを教える本が出版されたり、関連のトレーニングを行う専門家が出現している。