【大紀元日本6月8日】外部に漏えいした中国当局の内部通達で、軍が内モンゴルに大量に進駐していることや、現地の大学や政府機関が封鎖されていることを踏まえ、中共当局は今の内モンゴルの情勢を「臨戦状態」と例えていることが明らかになった。ラジオ自由アジア(RFA)が報じた。
同内部通達は内モンゴル政府の共産党委員会が作成したものとされ、同地区の一部の主要都市で起きた数千人規模のモンゴル人の抗議活動を「外部の敵対勢力が起こした」と結論付けている。しかし、これらの「敵対勢力」の詳細情報については説明がない。
ニューヨークにある南モンゴル人権情報センターが入手した同内部通達には次の記載がある。「いま、フフホト市(省都)は、戦争のような状態にある」、「すべての重要な場所に軍を配置している」、「すべての学校のほか、すべての共産党または政府機関で封鎖を講じている」、「目的は、悪い人たちを孤立させ、敵対勢力に深刻な打撃を加え、学生の安全を守るため」、「これは政権を守るための重要な政治的な任務である」
先週、フフホト市在住の自営業の女性がRFAの取材で、戦車や防弾チョッキを着た武装警官がおり、まるで「戦争の準備をしている」ようだと形容した。
海外の中国語情報サイト「博訊ネット」6月3日の報道によると、北京政府はすでに解放軍の陸軍第38軍、第27軍、第65軍を内モンゴルに進駐させた。第38軍は天安門事件で学生を弾圧した部隊であり、中国軍の中でもっとも先鋭的な野戦軍である。
すでに100人近くが逮捕されている
南モンゴル人権情報センター6日の情報によると、内モンゴルの抗議活動で合わせておよそ100人の学生や遊牧民、住民が逮捕されている。このうち、40人以上のモンゴル人学生と遊牧民はシリンゴル盟で逮捕されており、およそ50人の学生と住民はフフホトの抗議活動で逮捕された。「いまも逮捕が続いている。有名な作家や学校の教師も含まれる。今日(6日)も2人の教師の身柄が拘束された」という。
同情報センターが5日に公表した新聞公告によれば、内モンゴル当局はいま、住民の自宅を一軒一軒調べ、抗議の参加者を割り出すほか、外国とのつながりも調査している。
内モンゴル師範大学の教師はRFAの取材に対して、「当局は新たな逮捕を始めている。隣に住む人は、つい先ほど身柄を拘束された」と証言し、「内モンゴル人は、再び政治的粛清が始まるのではないかと懸念している。1968年の大虐殺はまだモンゴル人の記憶に鮮明に残っているから」と語った。
公式の統計によれば、文化大革命の期間中の1968年から70年までに、16,222人のモンゴル人が殺され、多くの人が監禁され拷問・リンチを受けた。
いまの内モンゴルの情勢について、南モンゴル人権情報センターはエンフバト代表は、「緊張の情勢はすこし緩和したようだ。人々は街頭に出て日常的な生活ができている。一部の学生は学校側の許可を得れば校外に出られる。しかし、広場や、学校、公園などには依然として武装した軍人が配置されている。一方で、当局は新たな逮捕活動を始めており、その対象にはインターネットや携帯電話から関連の情報を発する内モンゴル人も含まれている」と証言した。また、「多くの地域ではインターネットは依然として繫がらない。電話と携帯電話は時々通じるが、突然切断されたりしている」という。
AFP通信はフフホト市当局に電話取材を試みたが、回答を得られなかった。同市内の情勢は依然として緊張しており、あるホテル関係者の話では、交通は復旧したが、警察は数日前の大規模抗議デモのスタート地点だった新華広場を厳重に警備している。
南モンゴル人権情報センターはフフホト大学の研究者の言葉を引用して、「我々モンゴル人は漢族の統制から脱却して自由を得るために努力している。自治権あるいは民主を求めて」と伝えた。
5月上旬に、炭鉱採掘に抗議したモンゴル人男性が漢族の人に故意に殺害される事件が発生した。後に自治区内の各地でモンゴル人による千人規模の抗議活動が相次ぎ発生、当局によるモンゴル草原への環境破壊や現地遊牧民の権益への侵害を訴えた。