【大紀元日本6月10日】ロシアの国営石油最大手ロスネフチが、オホーツク海大陸棚の「マガダン鉱区」と「東シベリア鉱区」の油田開発をめぐり、日本企業の参画を求めることを決めた。ロシア経済紙コメルサントは7日、これには「中国に圧力をかける狙いがある」と分析した。
ロシア紙RBKデイリーによると、ロスネフチはすでに今月初めに経済産業省(日本)と協議を行い、マガダン1、2、3号ブロックと、東シベリアの11カ所の石油埋蔵量などについて、今年中にも共同調査をスタートすることに合意した。有望な鉱区が見つかれば、探鉱を手掛ける日ロ合弁会社を新設するという。さらに将来的に、石油精製工場や一連の石油化学企業の設立についても合意している。なお、日本側が探査のすべての費用を負担するという。
日本経済新聞によると、今回の開発に日本からは、政府系の国際石油開発帝石(INPEX)や石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が参加する方向で調整している。日本側の出資は最大49%という。
ロシアと中国を結ぶ原油パイプラインが今年1月1日にスタートしたばかりで、ロシアは中国へ年間150万トンのペースで原油を提供している。そんな中での日本との積極的な協力について、オルマ投資ファンドのアレクセイ・ビストロフ副代表は、「日本で起きた地震と津波の影響で、石油や天然ガスなどのエネルギー分野への需要が大幅に増えたため」と解釈している。
一方、ロシア経済紙コメルサントは7日、ロスネフチがこの決定をした理由には、中国との間で起きた原油運送費用をめぐるトラブルがからんでいるとの見解を示した。
今年4月に、中ロ間パイプラインにおけるロシア国内での原油運送費用について、双方の意見が分かれ、ロシア側は中国が負担すべきだと主張するのに対し、中国側はロシアの負担だと訴えた。その後、中国が「未払い」の2億ドルを支払うことで解決したが、今回ロシアが日本に協力を求めたのには、「中国に圧力をかける狙いがある」とコメルサント紙は指摘する。
中国とロシアの間で、石油や天然ガスの価格などをめぐり、大小の対立が絶えない。そのつど、「ロシア側の毅然とした態度の前に、中国は譲歩している」とラジオ自由アジア(RFA)がロシアメディアの言葉を引用して伝えた。今回の石油運送費用についてもこの「慣例」に従う形となったが、日本との積極的な協力で今後も中国をけん制することができる、とコメルサント紙は分析する。