【大紀元日本6月10日】 【大紀元日本6月10日】中国共産党の機関紙・人民日報は6日、昨年1月より中国市場から撤退したインターネット検索大手の米グーグル社を、「中国当局を誹謗中傷する政治的道具」であると非難した。同紙発表の「郭信文」の署名が記された評論は、グーグルが中国からとみられるハッカーの攻撃を受けたと公表した件について、「政治目的の騒ぎたてに過ぎない」と片付けている。香港在住のネット作家・北風さんはRFIフランス國際放送の取材を受け、人民日報のこの反応は一種の「汚名被せ戦術」であり、全く説得力に欠けると批判した。
同評論は、「米国の政界と民間がインターネット問題を大げさに騒ぎ立てているこの時期に」「グーグルはこの政治ショーの中で、ある種の役を演じようとしている」と非難し、「中国は世界最大のインターネット攻撃の被害者である」と言葉を続けた。
北風さんは、「まず、この評論文の署名『郭信文』は、『国家新聞弁公室』の略読みの擬音であるため、同評論は実質上、同機関が作成したのであろう」と指摘し、「グーグル社による今回のハッカー攻撃の公表は、一種の技術的判断であるのに対して、中国の同評論は、中国も大量のインターネット攻撃を受けていると反論し、その大半は米国からであると主張している。この釈明の論理性に注目してほしい。中国が受けたインターネット攻撃は米国からであるという論点を受け入れたとしても、グーグル社が受けた攻撃は中国の山東省済南市からではないことを立証しない。つまり、このような反論はまったく説得力がなく、証拠にもならない。通常、我々はこのような反論の仕方を『汚名被せ戦術』と名づけている。すなわち、あなたが私の顔に汚れがあると言うならば、私はあなたの体が汚いと反論する。そうなると、私の顔が真に汚いかどうかの問題も議論されなくてすむ。人民日報の署名評論の目的はまさにここにある」と分析した。
また、同評論は、グーグル社はネット上の情報を提供する企業として、中国当局を誹謗中傷する下手な政治ショーに「たびたび」加担している、と非難している。
その主張について、北風さんは「グーグルがいつ、どのように中国を誹謗中傷する事件に参加したのか、個々に具体的な事例を挙げて分析・評論すべきのではないか。事実であるのか、捏造した非難であるのかが一目瞭然となるはずだ。中国当局のこの評論は説得力がない」と述べた。
グーグルは先週、同社の数百人のGmailユーザー、米国政府関係者、中国の民主活動家、一部のアジア国家(主に韓国)の政府関係者、軍の関係者、ジャーナリストなどのGmailのパスワードがハッカーに窃取されたと公表し、今回のハッカー攻撃は中国の山東省の済南市が起点であるという調査結果も公表した。中国当局が関与したかどうかについては、全く言及していない。しかし、中国外交部はすぐに反論し、グーグルの主張は受け入れられないと非難した。
米国政府とFBIは現在、同案件の調査に乗り出しているという。