【大紀元日本6月23日】広東省紫金県のバッテリー製造工場が長年、有毒ガスや廃水を排出し続けたため、周辺の多くの住民の血中鉛濃度が基準値を超えている。その中には200人余りの子どもも含まれており、一部は入院治療を受けている。しかし、これらの入院児童に対し、地元政府は今月17日に退院を強要した。そのため、住民1000人以上による抗議事件が発生し、当局は200人余りの武装警察を派遣して鎮圧した。住民ら数十人が負傷し病院に運ばれ、うち1人が重傷を負ったという。
地元紙・新快報の5月中旬の報道によると、紫金県にある三威バッテリー製造工場が2006年の稼働当初から有毒なガスと廃水の垂れ流しを続けているため、工場の従業員、周辺住民、子どもたちは深刻な鉛中毒に悩まされている。工場に近い井水村、大嶺村は特に被害が深刻で、基準値の12倍となる1デシリットル当たり64マイクログラムの血中鉛含量が測定された子どももいるという。報道によって紫金県の鉛汚染の実態が明らかになってから、住民らの反発が高まり、県当局は同工場の責任者を刑事拘束し、工場を一時閉鎖した。
一方、同件について紫金県当局は、三威バッテリー製造工場を中心に半径500メートル範囲内の住民1468人を対象に血中鉛濃度の測定を行った結果、136人が基準値を超えており、59人の住民が鉛中毒を患っていると報告した。しかし、このデータについて、地元の住民らは、付近の数カ所の病院で鉛中毒で治療をうけている子どもだけでも200人以上に上っていることから、信憑性が低いと批判した。
また、バッテリー製造工場のそばに住む_deng_さんは本紙取材に対して、一家9人全員が鉛中毒だと訴えた。「私の子ども2人と弟の子ども2人は(1デシリットル当たり)60マイクログラムを超えている。1歳3カ月から6歳の子どもたち全員に嘔吐、発熱の症状が現れており、1人は脱水症状で広州の病院に運ばれている。3歳の子は、中毒症状のひとつである情緒不安定に陥っている」
入院治療を受けている子どもたちに、地元政府は17日に退院を強要した。不満をつのらせた住民らは説明を求めたが相手にされなかったため、国道を遮り抗議し続けた。同日午後4時前後、子ども連れの母親が警察に暴力を受けたことがきっかけとなり、さらに多くの住民が集まり、大規模な抗議活動へと発展した。夜9時頃に当局は200人の警察を出動させ、警棒や鉄棒を使って現地の住民らを解散させた。
2年前、中国河南省などで多くの鉛中毒事件が発生したが、最近では浙江省や広東省で相次いで発覚している。国際的NGOヒューマン・ライツ・ウォッチの報告によると、中国の子どもの3人に1人が被害にあっており、血中鉛濃度が高い傾向にある。数十万人の児童が鉛中毒が原因で身体障害者になったという。中国の人権活動家は、中国では官民結託により当局関係者が巨大な利益を得ているため、汚染が放置され住民の健康が害される事件が次々に現れていると指摘する。