【大紀元日本6月24日】中国当局が封鎖する国内外の情報を放送する中国語衛星放送局・新唐人テレビが、台湾の通信最大手「中華電信」から衛星の提供を打ち切ると通告されていた。しかしその後、国内外の強い反対により、事態が急展開した。中華電信が22日、新唐人テレビのアジア太平洋支局と同意書を交わし、引き続き衛星を提供すると表明し、29日には同契約を結ぶことになった。
ニューヨークを拠点とする新唐人テレビは、海外の中国人が運営している衛星放送局である。2002年に設立され、中国当局が封じ込めている国内外のニュースや情報を中国向けに放送しており、「中国の上空に開いた自由の窓」と評価されている。同テレビ局広報によると、これまで中国当局からたびたび妨害を受けてきた。
台湾最大の電気通信事業者「中華電信」が今年4月、同社の衛星を通して中国大陸向けの放送を行っている新唐人テレビに対して、技術的な問題を理由に衛星の使用契約を更新しないと通告した。それにより、今年8月から、新唐人テレビの中国向け衛星放送が完全に中止されてしまう恐れが出ていた。
中華電信が主張する技術的な問題とは、これまでに使用していた衛星「ST-1」に比べて、代替の新型衛星「ST-2」の周波数が足りない、ということだ。一方、同社が以前に公表した資料によれば、同新型衛星は「ST-1」よりも周波数がはるかに広い。そうなると中華電信側の主張は実質上成立しないことになる。4月の更新中止の通告は実際、中国当局による政治的圧力が要因であるという見方が強い。
中華電信は民営化された台湾の元国有企業であり、政府交通部はその筆頭株主だ。そのため、本件の最終決定権は台湾政府に委ねられた。
これを受けて、米国議会の複数の議員や、欧州連合のスコット副議長、台湾与野党の多くの議員らは相次いで馬英九政権に対し、民主と自由を守るため、新唐人テレビ局に引き続き衛星を提供するよう呼びかけ続けてきた。
米議会では屈指の「台湾通」で、米国の台湾への支持に重要な影響力を果たしてきたローラバッカー下院議員は、馬英九総統宛ての書簡で、「台湾政府が中国国内での思想の自由のための戦いを支持しなければ、米国も台湾を支持する必要はない」と綴った。
今回、中華電信が衛星使用の契約を継続すると表明したことを受けて、台湾に拠点を置く同テレビ局アジア太平洋支局スポークスマンの朱婉_qi_氏は、「これは台湾の民主にとって重大な勝利であり、ある意味では台湾政府が中国当局の圧力に屈しなかったとも評価できる」と述べ、国内外の各界の支援への感謝を表した。
同氏は、今後も中国当局は様々な手段で同テレビ局を妨害するであろうと指摘、放送が実際にスタートするまでは油断禁物であり、各界による監視の目は引き続き必要であると述べた。