【大紀元日本7月9日】中国の地方政府の負債問題が注目される中、地方政府所属の公立大学が巨額な借金を抱えていることが明らかになった。専門家は、無謀な規模拡大や、少なすぎる国家教育予算が本質的な原因であると指摘した。
中国の国家会計監察機関「審計署」によると、2010年の時点で、中国の各地方政府に所属する4年制大学は1164カ所あり、その負債総額は2635億元(約3.3兆円)に達している。特に負債問題が深刻な陝西省では、2009年末の時点で、40の省立大学の負債総額が102.7億万元(約1300億円)に上り、その大半は銀行からの融資である。
政府系放送「中国の声」は専門家の見解として、問題の根源は大学の無謀な規模拡大と、少なすぎる国の教育予算にあると報じた。
中国政府は12年前の1999年から、大学の入学枠を拡大する政策をスタートさせた。当初は、この政策が歓迎されたが、1998年の108万人の大学入学者数から700万人まで拡大された今、多くの大学は巨額な借金を抱えることになった。
専門家は、大学教育の質の低下や、大学生の就職難などの社会問題は、入学枠の拡大が原因であると指摘する。
また、国からの教育予算が少ないことも問題視されている。18年前の1993年、当時の中国政府は2000年までに国家教育予算を国民総生産(GDP)の4%にまで引き上げると宣言していた。この目標は2011年の現在もまだ達成されていない。
米クレアモント・マッケナ大学の政治学教授・裴敏欣氏はこの問題に触れ、「いまの中国の大学は国営企業の体質と同様である。唯一異なるのは、大学教育の遅れは、中国の発展へのマイナス影響がさらに深刻なことだ。それにより、数世代の国民が駄目になっていくからだ」と危機感を示した。
(翻訳編集・叶子)